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『ただいま。』


重「おかえり。」





重「今日の夜ご飯なんなん?」


『肉じゃが。』


重「ほえー、煮崩れしそうやな。」


『いや、ちゃんと作れるから。馬鹿にしないで。』


重「いや〜?ほんまか?しげちゃん心配やわ。」




『逆にシゲは何か作れるの?』


重「オムレツは世界一美味しく作れるで!」


『フッ。』


重「おいっ、今馬鹿にしたやろ?」


『いやいや、うわぁ、凄いねー。』


重「嫌な奴やなぁ。」


『それはお互い様でしょ。』


重「なんも言えへん。」




この会話もきっとこれで最後


確かめるように、忘れないように


ひとつひとつに静かに終止符を打っていく





嫌だ。と思うほど、時間が過ぎるのが早く感じられるから


わざと意識しないように





私がお風呂から上がると、シゲはもうベッドに横になっていて


おいでよ。と言うようにクイクイッと手招きしている


その隣に同じ様に寝転ぶと、彼は悪戯っ子のようにはにかんだ笑顔を見せた



重「とうとうやな。」


『とうとうだね。』



窓から見える夜空には星が舞っていて


2人とも無言のまま、おもむろに夜空へと目を向ける


いつか見た時と同じように、それは静かで永遠に思えた




いつもは聞こえる車の音も


隣の部屋から聞こえてくる洋楽も


時を刻む時計の針の音さえも聞こえない





今の私たちにはこの空間こそが全てで




その、何も聞こえなかった空間に響いた音は、他でもない彼の声だった




重「なぁ、A。」




『ん?何?』





私に背中を向けていて、彼の表情が見えないけど


大切なことを言おうとしているのは、雰囲気でわかった









重「好き。」




至って普通に、でもいつもよりどこか甘い彼の声が、私の鼓膜を揺らす



『…え?』









重「Aのことが、好き。」

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shihok0712(プロフ) - 気が付いたら涙がら流れてました。目に見えて、普通に会話し合える背後霊なら、一緒に居て楽しいやろなぁ。唯一亡くなる前に通り魔から庇うしげちゃん、男気半端ないですね! (8月20日 20時) (レス) @page37 id: ebf12df227 (このIDを非表示/違反報告)
千歳あめ - はじめまして!この作品読んでボロ泣きしました。いい話過ぎます……! (2023年3月26日 22時) (レス) @page35 id: a0f783b703 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか。(プロフ) - とても面白かったので続編待ってます!勉強も更新も頑張ってください。 (2019年12月8日 6時) (レス) id: 2aef7cd3bd (このIDを非表示/違反報告)
おず(プロフ) - 続き、嬉しいです待ってました!楽しみにしてますね (2019年11月9日 15時) (レス) id: bc6c17b8f8 (このIDを非表示/違反報告)
bbjaniyokoyuzu(プロフ) - 涙止まりませんでした!!!続きお待ちしてます!!!!!!! (2019年5月7日 20時) (レス) id: c52be9df5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚菜 | 作成日時:2018年1月22日 20時

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