照史くんの家 ページ16
『出ないなぁ。』
神ちゃんに案内してもらったアパートの一室の呼び鈴を連打する
神「借金取りみたいになっとるよ。」
漫画だったら汗マークが付いてそうな表情の神ちゃん
でも何処か緊張している様子
と同時に、ドアが開いて、苦笑いした照史くんが出てきた
桐「そんなピンポンせんでもええやろ…。って、A？！なんで居るん？」
彼の目元は少し赤く、潤んでいた
きっと急いで拭ったんだろう
『届け物しに来た。』
桐「届け物？誰から？」
『神ちゃん。』
その瞬間、赤くなった目と私の目が始めて合った
桐「…もしかして隣に居る？」
神ちゃんの体が強張るのが見て取れた
『うん。居るよ。シゲと一緒に。』
そっか…と少し間が空いた後
桐「…まぁ、上がって。少し汚いと思うけど。シゲも…モンチも。」
そう言って、家の奥に案内してくれた
桐「好きなところに掛けといて。」
汚いとか言いながら、部屋は綺麗に整頓されていて
重「全然綺麗なんやけど。」
神「変わっとらんな…。」
『変わってないなだって。神ちゃんが。』
桐「ん？あぁ、そうかな？」
曖昧に微笑みながら、コーヒーを出してくれた
桐「んで、モンチからの届け物って？」
『これ。』
レシピノートを差し出す時に、神ちゃんもそっと手を添えてくれた
桐「貰って…ええの？」
『照史くんのために神ちゃんが作ったの。』
桐「そうなんか…ありがとなぁ。」
照史くんがノートを受け取る手が、一瞬神ちゃんの指と重なる
その指先を見ながら、口を結んで口角をキュッと上にあげている神ちゃんの横顔に、
私はシゲと顔を見合わせて微笑んだ
桐「うわっ、これ懐かしっ！あー、これも作ったなぁ。すっかり忘れとった…。」
レシピノートを見ている照史くんの目が、どんどん潤んでいく
桐「嬉しい…。ほんまにありがとな。」
神「…照史くん。」
照史くんの目から涙が溢れ落ちると同時に、神ちゃんが彼に抱きついた
桐「なぁ、A。」
『ん？なに？』
桐「今、神ちゃん俺に抱きついてへん？」
『えっ？見えてるの？』
神ちゃんも、シゲも目を丸くして照史くんを見ている
桐「いや、なんとなくそんな気がして。
そっかぁ…なんか恥ずいな。」
そう言いながらも、見えているかの様に神ちゃんの背中に手を回していた
重「なぁ、A。帰ろか。」
『そうだね。帰ろう。』
アパートを出ると、肌寒い風が頬を滑っていく
もうすぐ冬が来る
私と彼との時間も後少し
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shihok0712(プロフ) - 気が付いたら涙がら流れてました。目に見えて、普通に会話し合える背後霊なら、一緒に居て楽しいやろなぁ。唯一亡くなる前に通り魔から庇うしげちゃん、男気半端ないですね！ (8月20日 20時) (
レス) @page37 id: ebf12df227 (このIDを非表示/違反報告)
千歳あめ - はじめまして！この作品読んでボロ泣きしました。いい話過ぎます……！ (2023年3月26日 22時) (レス) @page35 id: a0f783b703 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか。(プロフ) - とても面白かったので続編待ってます!勉強も更新も頑張ってください。 (2019年12月8日 6時) (レス) id: 2aef7cd3bd (このIDを非表示/違反報告)
おず(プロフ) - 続き、嬉しいです待ってました！楽しみにしてますね (2019年11月9日 15時) (レス) id: bc6c17b8f8 (このIDを非表示/違反報告)
bbjaniyokoyuzu(プロフ) - 涙止まりませんでした！！！続きお待ちしてます!!!!!!! (2019年5月7日 20時) (レス) id: c52be9df5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚菜 | 作成日時：2018年1月22日 20時
