錦戸くん5 ページ35
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お昼休み、私は購買に向かっていた。
購買に行けば錦戸先輩に合える気がしたから。
だけどそこに錦戸先輩の姿はなくて、仕方なく焼きそばパンを買って教室に戻ろうとした時、向かい側から錦戸先輩の声が聞こえた。
いつもの黄色い声援と共に。
｢先輩！これもらってください！｣
｢私のもー！｣
｢ありがとうなー、頑張って作ってくれたん？
嬉しいわー｣
｢これ！｣
｢うまい！やっぱり可愛ええ子が作るチョコは味も最高やな｣
｢キャー！｣
私は思わず隠れてしまった。
久しぶりに女の子に囲まれて鼻の下を伸ばしている錦戸先輩を見て、すごく嫌な気分になったから。
今までこんな気持ちになることなんてなかったのに、久しぶりに見かけた錦戸先輩はいつもの何倍もかっこよくて、胸が締め付けられる。
よくよく考えてみれば錦戸先輩は学校の中では雲の上のような存在で私なんかが気軽に接することの出来る相手じゃなかった。
なのに私は錦戸先輩が好意を抱いてくれてるのをいいことに適当にあしらい続けた。
今更自分の気持ちに気づいたところで、もう相手は何週も私に会いにきてくれない。
これが錦戸先輩の答えなのかな。
あんなに言ってきてくれたのに。
もうチョコレートあげる勇気なんてない。
昼休みは結局、教室に戻らずに屋上で過ごした。
教室に戻って次の授業の準備を始める。
すぐに先生が入ってきて午後の授業が始まった。
焼きそばパン半分しか食べられなかったので今頃になってお腹が空いてきた。
かといってここで食べるわけにもいかないし、今日は帰りに寄り道して帰ろう。
そんなことを考えていたらあっという間に授業が終わった。
今週も錦戸先輩にちゃんと会えなかった。
もうこんなのが当たり前になるのかな。
1ヶ月しないうちに錦戸先輩は卒業するし、そしたらもう完全に会えなくなる。
そう思ったら寂しいな。
もっと素直になれば良かった。
｢A、そう言えばな、今日昼休み…｣
友達が不意に話しかけてきた。
ガラッ
その時ちょうどドアが開いた。
｢Aちゃーん！
やっと会えたわー！｣
｢あ、言わへんでも本人来たからええわ。
昼休み探しとったで？｣
友達はこう言うと帰っていった。
教室はまだザワザワしていたけれど時間と共に人が減っていく。
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神八爽蘭(プロフ) - やまーさん» 教えていただきありがとうございます！非公開になってました(;_;)すみません。 (2020年2月14日 22時) (
レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
やまー(プロフ) - 渋谷くんの5が抜けてると思います！間違ってたらすみません… (2020年2月14日 22時) (レス) id: a2a6af1ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年2月12日 23時
