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｢あんたがうじうじしてるから、来月の連休に旅行セッティングしたから｣
昼休み、ランチを食べ終えてゆっくりしてたら視界に熱海の文字が広がった。
友人の冴希が私の前にパンフレットを差し出している。
仕方なくそれを受け取ったが頭の中にはハテナが沢山浮かんでいる。
旅行？私が？誰と？
｢どういうこと？｣
｢だから熱海に旅行行くの！
あんたとふっかとしょっぴーと私！
あとふっかとしょっぴーがサークルの後輩何人か連れてくるって！｣
そう言いながら向かいの席に座った冴希は自分の分のパンフレットを広げ楽しそうに計画を立て始めた。
まだ状況が理解できないまま、私もパンフレットを広げた。
熱海といえば小さい頃夏になればよく家族で旅行に行ったなぁ。
この季節に行くなら海に入るよね…水着、新調しなきゃ、なんて考えていると聞こえてきた一際明るい声に胸がドキッとした。
｢Aと冴希じゃん！
今度の旅行のやつ？｣
ふっかは私たちを見つけると一緒にいた数人から離れてこちらに駆け寄ってきた。
相変わらず人気者。
ふっかの周りにはいつも人が集まる。
特に可愛い女の子がいっぱい。
ふっかのこと憧れとかトキメキとか恋とかそんな眼差しで見ている子は大学にたくさんいるのはわかってる。
｢そうなの！
今Aに報告してたとこ｣
｢そうなんだ。
A絶対来いよなー！｣
ふっかはそう言って私の頭を撫でた。
再び騒ぎ出す胸の中をどうにかして鎮めたい。
｢先輩〜、置いてかないでくださいよー！
あ！A先輩と冴希先輩ですよね？
旅行ご一緒させてもらいます真実です。
楽しみにしてますね｣
そんな所へさっきふっかと一緒にいた中から一人の女の子がやってきた。
鼻にかかった声でやけに語尾を上げて話す彼女はふっか隣にぴったりとくっついて私たちに見せつけるように挨拶をした。
胸まである綺麗に巻かれた髪の毛が少し風に揺れる。
｢なにあれ！
てか女連れてくるって聞いてないけど！｣
二人が去ったあと、目の前の冴希は怒り心頭といった様子。
｢ふっかのやつなんなの、あんなんにデレデレしちゃってさ、私あーいう女大っ嫌い！｣
口をへの字に曲げて荒々しくパンフレットを睨んだ。
明らかに女子から好かれなさそうなその子は、ふっかの腕に自分の腕を絡めて嬉しそうに歩いていく。
なんだかはすごく嫌な予感がする。
来月の連休がとても憂鬱になってきた。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2021年1月13日 20時
