2 横山SIDE ページ2
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なんでそんなん知っとるかって？
それは数日前に遡る。
ピンポーン
夜、飯食うてそろそろ風呂でも入ろうか思ってた時インターホンが鳴った。
｢こんな時間に誰やねん｣
ドアモニターの前に行くまでにも何回もなり続ける。
うるさくてたまらん。
｢Hello〜裕！開けてー｣
ドアモニターには1年半前海外に行ったっきりのAが立っていた。
俺はビックリしつつオートロックを解除すると、そんなに経たない間にAは俺の部屋にやってきた。
でっかいスーツケース持って。
｢A、帰るなら言えや〜｣
｢驚かせたくてさ〜、びっくりした？｣
はいこれお土産ーとわけわからん英語の書かれたオブジェと定番のチョコレートの箱をローテーブルに置くA。
とりあえず受け取るも、どうして帰国のその足でここへやってきたのか検討もつかへん。
しかもこんな時間に。
｢あ、そういえば私、来週から裕の部署に行くことになったから｣
｢はぁ？｣
｢裕の所今アメリカの会社とのプロジェクト進めてるでしょ？
そこのリーダーとして働くことになったの｣
ということはAが直属の上司。
人事異動なんて珍しいことじゃないし、いつかは起こりうる事やと思ってたけど、いざなってみるとどうしたらええかわからんな。
せやけどこの数秒後、Aはもっと驚くことを言いよった。
｢私、向こうに行く時に部屋引き払っちゃったの。
住むとこないからここに住ませて。
部屋1つくらい余ってるでしょ？｣
｢はぁあ？｣
そう言って歩き回る。
何考えてんのこいつ。
俺は開いた口も塞がらなかった。
｢ええやん。
うちら幼なじみやろー？｣
こういう時だけ、もうすっかり東京の波に飲まれて使わんくなった関西弁使いよる。
あかん。
調子に乗って2LDKになんて住まんかったら良かった。
せやけど帰る家もないAのこと追い出す訳にも行かへんしなぁ。
仕方ない…
｢しばらくこっち勤務なんやろ？
新しい部屋見つかるまでやで！｣
｢やったー！裕、ありがとう！｣
ぱぁっと表情が明るくなって、いきなり抱きついてくるA。
ここはアメリカやないぞ。
それに、もう俺らは大人や、昔とは違う。
もっと警戒心持った方がええわ。
なんて本人には言えず、俺は悶々とした気持ちを抱えたままその日は眠りについた。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年5月19日 8時
