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家について、男児……刃をソファに下ろす。


俺の家はマンションよ21階。



ギーク「刃、ほら。」

刃「…………ありがとう…」



ギーク「ありがとう、“ございます”」
刃「………ありがとうございます……」


刃は俺の言葉を復唱して、「ありがとうございます」と、口の中でモゴモゴ何回も呟いた。


そして、ホットココアに口をつける。




刃「あつ………」


ギーク「お前、そのまま飲もうとすればそうなるわ」


息を吹きかけ、冷ます。


たったこれだけの動作を、刃は知らなかった。



ギーク「ほら、こうするんだよ」


俺がホットココアのコップに、ふー、と息を吹きかけると、

刃もそれの真似をする。



ギーク「“こう”やって、“熱いもの”は、
“冷ます”んだよ」


どうやら刃は、物覚えがいいらしい。

すぐに覚えて息を吹きかける。



俺は“よくできました”と、頭を撫でてやると、
刃はビクッとして身を縮めた。


そうか…これも怖いのか。




ギーク「刃。

人は、“よくできました”って、人の頭を“撫でた”りするんだ」


刃「…………よくできました………………」


ギーク「そう。

“よくできました”って、“褒める”」




刃はまたも復唱、復唱、復唱………


そして、手を伸ばして……



刃「よ、よくできましたっ!」


と、俺の頭を撫でた。




……………!



俺は刃の手を振り払うと、怒鳴っていた。



ギーク「俺はそんなこと、してもらえるようなことはしてねぇよ!!」




……刃は、怯えたような感じをした。


そしてどうしたらいいかわからない、というように俯く。





ギーク「…………“ごめんなさい”」



そのワードを呟くと、刃は、はっとして顔を上げた。

さすがに知っているんだな。この言葉は。




刃「ごめんなさい…!」


刃は俺を見てしっかりと言う。



こんな、自分よりずっと年下のやつにキレるとか…





俺情けないな…ほんと。







ギーク「……悪かった




“仲直り”…………だろ?」




刃の頭をぽんぽんと撫でる。


すると、刃はニコニコ笑いながらこう言った。





刃「僕、“よくできました”だった?」


…………はぁ、






ギーク「“よくできました”!だったよ!!」



俺は刃の髪の毛をわしゃわしゃする。

刃は髪をくしゃくしゃにされながらも、




嬉しそうに笑っていた__________

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作者名:松壱 | 作成日時:2018年1月16日 22時

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