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一松が目を覚ましたのは、その日の夜になってからのことだった。
頭がズキズキと痛み、ついでに腕に激痛が走る。
恐る恐る袖をめくってみれば、腕には何やら引き裂かれたかの様な生々しい傷があった。
ただ、血は全く出ていない。こんなにぱっくりと開いているのに。触ればこんなに痛いのに。

不思議に思いながら、彼は部屋を出た。

その足は自然と教会に向き、中に入れば人が寄ってきた。
彼らは何やら困った顔で話しかけてくる。
相談事か、悩み事か懺悔か後悔か。
いつもの彼なら逃げていた。呼吸が乱れて、パニックになっていたはずだった。

しかし、今日は違った。
優しげな笑みを浮かべて、其の人達の話を順に聞いては解決策を上げていく。
其れを見た両親は、驚いた様な顔を見せつつ、表情に歓喜の感情が現れていた。

其の人達は、シスターの優しげな言葉に、丁寧な話に、謙虚な姿勢に満足し、穏やかな笑顔で帰っていく。
「お気をつけてお帰り下さいね」なんて微笑む一松の瞳の奥は冷めきっていた。


彼を追い出す話は破棄、寧ろ誰よりも出来る様になったシスターに皆甘くなった。
優しくて、今まで弟達に、兄さんに向けられていた期待が自分に向いているのがわかった。

部屋に戻った一松はベールを剥ぎ取ると床に叩きつけ、吐き捨てるように言う。


一「彼奴らなんか、大嫌いだッ…!!」

修道着を乱暴に脱ぎ捨てると、髪の毛を強く強く掻き毟る。
半分奇声のような声を上げながら風呂場に向かうと、半狂乱のままお湯の張られた湯船に顔を突っ込んだ。

水しぶきが上がって、彼の髪が水面で揺れる。
お湯は容赦なく一松の体に入り込み、空気を奪う。
「ぐっ」と苦しそうな声を上げて湯船から顔を振り上げた。
お湯が髪から顔を伝い、床にポタポタと滴る。


一「……傷が、頭が、痛い…………ッ!
おかしくなる……!!

彼奴らの態度も!人間どもの話も!
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!
俺に触れるな俺に話しかけるなもう近づくな嗚呼__________!」


治らない頭痛で、痛む傷で狂いそうだった。
最初はただそれらが痛むだけ。
だが次第に、彼は自分の周りの人間が憎くなった。
今まで散々酷い事を言ってきたあの口から出てくる甘い言葉が、彼をより苦しめた。


一「彼奴ら、彼奴らが皆々いなくなれば俺は、楽になれるんだ…!
もう、誰にも会いたくない、皆死ねばいい…」

神「その言葉は本当か?」

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おそ松さんgirl(プロフ) - みくさん» ありがとう!頑張る!! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 1f58a69c9c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 面白いよ!更新頑張ってね! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 7f167612e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松壱 | 作成日時:2018年5月20日 12時

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