迎えに来たよ、監督生。

恋は駆け引きらしい ページ10

・

5､6時間目の終業式と大掃除は、全く集中することなく終わった。
そしてHRも終わり、もう下校の時間だ。


「真衣子帰ろう」

「いいよ」


重たいリュックを背負い、怠そうな真衣子と共に教室を出て行く。
その時、ぼーっとし過ぎて誰かにぶつかってしまい倒れかかったが相手が支えてくれたお陰で何とか体勢を立て直すことができた。


「ご、ごめん！ぼーっとしてて」

「いや俺も･･･って何だ城岩か」

「えっ、あ･･･永瀬！何だって何？」


失礼な発言をするぶつかった相手、永瀬を軽く睨みつけたあと、軽く笑う永瀬に釣られて私も笑いを浮べる。


「そう言えばさ、お前も行くの？8月の夏祭り」

「私？まぁ･･･行けたら行くつもりだけど」

「ふーん」


そっちから聞いてきたくせに何その反応、と言い返すと、べっつにーとこれまた適当な返事が返ってきた。


「もういいや、真衣子いこう。じゃーね永瀬」

「おー･･･」


永瀬とすれ違って数秒後、スマホのLINEの通知音。
何だろう？と画面をつけると、永瀬と表示されていた。


永瀬夏祭り、一緒に行こ


「え･･･」

「うわぁアオハル〜」


すれ違った永瀬の方を見ると、ちらりと此方を振り返り目が合う。


「こーいうのって直接言うもんじゃないの」

「うっせばーか。･･･返事は？」

「ふふ、いいよ。りんご飴奢ってね」

「いくらでも」


永瀬(好きな人)と、夏祭り。
8月に、浴衣で。




私はLINEのメッセージを見て、思わず口角を上げた。




「･････････」

忍び寄る影は→←ハートの赤毛のアン（♂）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す