幻のプラネタリウム。 (ページ2)

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「ねえ、柴田？......私、柴田が好き...」

し「俺も、Aが好き」

「ふふ、嬉しい」

どちらからともなく手を繋いで、

遠く向こうの白光の方へ二人歩んでいった。

2人は笑っていた。

ｼﾞﾘﾘﾘ

A.m.6:00。

目覚まし時計が、夢から現実へと私を引き戻してしまう。

「はっ、びっくりした...夢、だよね...そんなこと、あるわけないもん」

自分で言って虚しくなるのは、きっとまだ柴田に気があるからだろう。

私は夢を見た。

私と柴田、仲良く手を繋ぎ、幸せそうだった二人。

あの光景をどれだけ望んでいたことか。

昨日、あれから結局動画を観てしまい、

あり得ないほど泣いた。

いつの間にか、泣き疲れて、

眠ってしまっていたんだ。

奥さんは、私よりずっと綺麗で、優しそうだった。

私なんかじゃ、柴田の隣は務まらない。

悲しいけど、お似合いだった。

考えるほど心の傷は深くなるばかりなのに。

好きな人の結婚を心から祝えない私は最低な女だ。

「柴田...A」

誰もいないマンションの一室。１人呟いてみる。

柴田と結婚してたら、こんな名前になってたんだ。

...すごく、素敵な名前。

そんな呟きも、

誰にも届くはずもなく静寂の中へと消えていった。