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セーフハウスに到着するや否や、碧木Aは眠りについた。先程までは悪態を付き、子供らしく生意気な口を大きく開いて茶化していたというのに、寝顔は俄然可愛らしいので思わず頭を抱えた。こんな男に、少しでも妹の面影を重ねてしまった事を悔やむ。

それにしても、この男も歳相応の表情もできるものだ。感心した。


(…馬鹿らしい。)
結局は、皮を剥がせばただの子供、幼い16、17の子供。大人や周りからの愛情に生かされ、利用し、道を辿って生きていく。ごく"普通"の、ちゃんとした子供だ。


「…お前は、」

俺と同じになるなよ。


己の意志とは別で喉奥まで這い上がった言葉を遮る様に、ポケットの中の端末が震えた。コール音に溜息を吐き、起こさない様にと寝室から出る。恐らく銃兎だろう。

「…んだよ、クソうさぎ」
「未成年誘拐でしょっぴいてやろうか。」

ほら、予想通り。



「…たく、碧木Aについての情報を共有しようと思ってな。勿論任意ではあるが、しておくか」
「どっから集めてんだか…じゃあ。」

入間銃兎は仕事が早い。悪徳警官と呼ばれるだけあり、さらりと物をこなしてみせる。そこに躊躇いはない。
先程怪我を見せてあれだけ堪えたであろう餓鬼を、更に追い込むかもしれない行為だ。相変わらず性格が悪い奴。


「碧木A。高校は烽羽学園、二年三組一番。成績運動共に優秀。家族構成は母と父のみ、共働きであり両親ともに高学歴、裕福な家庭。母親は虐待、父親は育児放棄。」
「最悪だな」
「…まあ、完璧主義という奴だろう。そこからうまれた虐待だと踏んでる」

詰まることなく零れた言葉に、疑問点は幾つか浮かび上がる。堪らず寝室で眠る彼の頭を撫でてやりたくなるような衝動。柄にもない。ぐっと飲み込む。


「…これは小耳に挟んだ噂に過ぎないが、あの少年、援交をしているとか。」
「はあ?あいつが?」

思わず間抜けな声が出た。

「狙いは五十代の女性らしいが…当然確信はしていない、どうせ妬みや僻みから来た冗談だろう」
「あの餓鬼、友達関係も悪ぃのかよ」
「…さあ。仲が良くても嫉妬は生まれるものだからな」


珍しく曖昧な言葉を並べる銃兎に深い溜息を吐き、扉越しに眠る彼を思った。普通の高校生、なんてものでは、なかったのか。

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作者名:るてこ | 作成日時:2018年12月22日 16時

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