・ ページ5
『朝も一緒にご飯食べようね！』
可愛い弟から可愛いラインが届く。
優太風なんとかのなんとかって言う題名の、さっき画録したのを歯磨きしながら見返す。
明日の朝は何をどんな風に作って、どんな風に会話してるんだろう。
妄想してはひとりで笑って、、俺って寂しいやつ。
はやく明日になんないかな。
寝る前はそんな感じで調子が良かったんだけど、、
朝の診察の時に、身体を起こせば、血が回ってないような感覚がして、気分がものすごく悪い。
毎日のことなんだけど、今日は、起き上がるまで気分も良く、心も快晴だったし、こんな事になるなんて思ってなかった。
だから、余計に辛くて。
またベッドの上で戻してしまう。
｢今日は調子よさそうだったんだけどね…、辛いね。｣
毎日、朝から嘔吐して、スタッフの仕事増やしちゃって、情けない。
身体も辛いし思うように回復してくれなくて、気が滅入ってしまいそう。
それでも、みんな、優しくて。
｢優太くんから電話よ。ちょっとだけでも話してみる？｣
調子が悪くてスマホを触れていなかった俺は、もちろん電話にも気付かずで、心配した優太は病院に電話をかけてきた。
それを取った看護師さんがわざわざ病室まで来てくれて、受話器を渡してくれる。
｢ごめ、ちょうしわるくて。｣
吐いてからなかなか息が整わなくて、浅い呼吸の中での会話。
優太はものすごく心配していて、今にも泣きそうな声をしている。
｢ごめ、あとで、でんわする、ね？｣
安心させてあげたかったんだけど、やっぱり気分が悪くて、また吐いちゃいそう。
｢無理しないで、にぃ！朝ごはんの動画送るから、調子よくなったらそれ見て食べて！それまではゆっくり休んでね！｣
受話器を看護師さんに戻そうとすると、受話器の向こうで必死に叫ぶ優太。
｢いい弟くんだね。動画みて食べれるようになるまでゆっくりしてようね。｣
受話器から漏れたその音声を聞いた看護師さんは、僕の背中を優しく摩ってくれ、そう言って褒めてくれる。
｢お兄さん、頑張ってるよ〜、お電話ありがとうね！｣
受話器を持ってきてくれた看護師さんは、僕の代わりに弟の相手をしてくれ、受話器に向かって優しい言葉をかけながら、ナースステーションへと戻って行く。
たくさんの暖かい人に恵まれた僕は、涙として溢れ出しそうな感謝の気持ちを胸に、ゆっくりと目を閉じて、回復を待った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
賞味期限(プロフ) - ちえさんさん» ありがとうございます！兄弟設定のお話大好き人間なんで、はじまりの年は結構お気に入りなんです！続編的なもの書いてみようと思います！ (2023年2月5日 7時) (
レス) @page34 id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - はじまりの年、とても素敵なお話でした。この設定で長いお話も読んでみたいなぁ、なんて思ってコメントしました。作品、いつも楽しく拝見しています。 (2022年12月22日 8時) (レス) id: 94c3edab09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月5日 1時
