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｢お前だろ？俺の金取ったの。｣
入学してすぐにはじまったイジメ。
何かある度に僕のせいにされて、酷い時なんてものを取られたりする。
｢和、今日のお弁当、オイラの新作入れといたから感想聞かせてね。行ってらっしゃい！｣
5年前に僕の父になった智。
16歳で僕を産んだ母ちゃん。
2年前に僕の実の父である人の元へ行き、僕は今、血縁関係もない、たった5年しか一緒に暮らしていないこの人とふたりぼっちになった。
智も僕を置いてどっかに行ってしまうのかな。とか思ってたけど、そんな酷い人じゃなくて、今の今まで優しく面倒を見てくれている。
その優しさが滲んだ、彼の作るパンが、僕は大好きだ。
イジメは絶えないけど、智の優しさに包まれて何とか生きてこれてる。
智から受け取ったお弁当袋を大事にしまいこんで、今日も学校へ行く。
｢うわ、なにこいつ。98点とか完全にカンニングしてるだろ(笑)｣
｢きっしょ、｣
数学のテストが返されると、いつもいじめてくる3人組が覗き込んでくる。
｢一緒にさ、留年して、長い付き合い、していこ、って、誓ったよね？｣
お昼休みになり、また僕を取り囲んできた彼らは、僕の答案用紙をビリビリに裂き、嫌な目で見てくる。
答案用紙なんてどーだっていいんだ。
お弁当袋を持って静かに席を立ち、誰も来ないようなところで食べようと逃げる。
けど、、、
｢へーんなやつー！俺エビ無理だわ｣
｢俺トマトむりー｣
｢ローストビーフむりー｣
追いかけてきた3人は僕から弁当袋を取り上げ、開けてすぐに目に入った、智のパンを開封する。
その中の具材を汚い手で取り出し、それを｢無理｣と言いながら僕に投げつけてくる。
具が全て無くなった頃には、僕の制服はかなり汚れてるし、床には具材が散らかっている。
無言でそれを拾う僕を見て笑い、僕の手ごと踏みつけ、具も手もぐちゃぐちゃになってしまうくらいの勢いでグリグリと押し付ける。
今は手なんかより、心が痛くて、苦しい。
これ以上辛い思いをしないためにも、涙をこらえ、ひたすら無を演じ続ける。
もうこの痛みには慣れた。
だから、普通の人じゃ耐えられない痛みも、もう感じなくなっちゃった。
僕の心は石ころのように固まってしまったんだ。
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賞味期限(プロフ) - ちえさんさん» ありがとうございます！兄弟設定のお話大好き人間なんで、はじまりの年は結構お気に入りなんです！続編的なもの書いてみようと思います！ (2023年2月5日 7時) (
レス) @page34 id: e5602ed7e0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - はじまりの年、とても素敵なお話でした。この設定で長いお話も読んでみたいなぁ、なんて思ってコメントしました。作品、いつも楽しく拝見しています。 (2022年12月22日 8時) (レス) id: 94c3edab09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月5日 1時
