Walking with you 3 (ページ47)

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あれはもう10年以上前のこと。

｢潤帰るわよ〜｣

先生とのお話が終わって戻ってきた母さん。

｢あら、和は寝てるのね。起こさないようにお片付けして帰っちゃお？｣

ベッドで俺の服を着て眠る潤を僕だと勘違いし、さっさと片付けを終わらせて病室を出る母さん。

病室を出る前におでこにキスを落としたのは衝撃的だった。

これを毎回やって貰ってるのかと思うと顔が赤らんだ。

｢けほけほっけほっ｣

｢あれ、潤、お風邪ひいた？｣

院内との気温差にやられ咳き込んだ俺。

完全に気を抜いてて、咳を我慢するとかそんなこと考えてもいなかった。

｢ひいたかもー｣

今後、咳を我慢するのは辛いから無難に風邪ひいたと申告しておこう。そう思い、潤っぽくそう返す。

今思うと、4歳児のくせに頭が切れて無駄に演技が上手かったなと感心する。

｢潤、おいで。お熱計ってみよう？｣

帰宅後、すぐに体温を計られた。

｢お熱はないね、コンコンの他に辛いところある？｣

｢ないよ｣

｢そっか。なら良かったけど、、お熱出ないうちにおふろはいっちゃうかあ！｣

少し前まではいい感じに進んでたんだけど、お風呂という単語が出てきてからはプランがなく焦った。

お風呂は父さんと入るから、その時に手術の跡を見られたら僕だってバレちゃうし、それ以前に、お着替えは母さんに手伝ってもらうからその時点でバレてしまう。