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少年院の大人たちは本当に優しくしてくれた。
僕の他に収容されてる人たちも、本当にいい人たちで、院生活が長い人ほど、考え方や、態度が凄く大人で、学ぶことばかりだった。
7ヶ月間収容された後、高校復帰は出来たものの、いじめが続く日々で、、それはやがて同じ寮に住む人達からも受けるようになった。
いじめと言っても種類が沢山あって、僕の場合は、“無視”、“噂話”、“悪口”が過半数を占めている。
週一で行われる人権などについての学習の時間では、みんながこちらを気にしていて、「あいつに人権なんてあるのかよ」なんて声が沢山聞こえてくる。
以前、仲が良かった友達も、平然とした面持ちで悪口を言うもんだから、それを聞いた当初は思考が停止して脳がちゃんと機能しなかった。
帰って、一日のことを振り返っては涙を流し、時には過呼吸を起こしてしまう、、そんな日々。
僕を唯一信じてくれ、学校にも通わせてくれる両親に心配かけまいと卒業まで耐え抜くんだって決心したんだけど、そう決心した矢先にそんなことがあって心がズタボロだ。
「和、学校はどう?」
「どう?って何?(笑)いつも通り、楽しくしてる。雅紀が今日も学校に変なお菓子持ち込むから先生に怪しいものだと思われて没収されてさ、もーずっと愚痴言ってたよ(笑)」
雅紀との友情なんてとっくに終わってるのに、心配させたくないって気持ちでいっぱいな僕は、こうして嘘を喋る。
そうすれば、受話器の向こうで母さんの安心したようなため息が聞こえてきて、僕も安心できる。
「今週末は帰ってくるでしょ?」
「ごめん!ほかの友達と映画観る約束してて帰れそうにないや」
「あらそう?たまには顔を見せてよね?あ、それと身体には気をつけて!」
「うん、ありがと母ちゃん」
嘘をつく度にキュッと痛む胸。
その痛みから解放されたくて、大好きな母さんの声を遮断した。
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作者名:賞味期限 | 作成日時:2022年9月25日 14時