Walking with you 6 (ページ5)

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撮影は短い時間で済み、
急激な悪化は見られなかったんだけど、

｢もし、、もし、っ｣

寝ている最中にかかってきた電話に出ると
酷く弱々しいこえがきこえてくるから思わず飛び起きる。

どうやら、胸の痛みが出始めてきたみたいで
そばにいて欲しいとのこと。

急ぎすぎて寝巻きのまま来てしまった僕。

最初のうちはそういうことを気にする余裕があったけど、
今は、先輩があまりにも辛そうで慌てふためいている。

安静にしていても苦しそうな呼吸。
クリームパンみたいに小さな手が
彼には大きすぎる爆弾を
爆発させまいと強く握りしめている。

熱は9度ちょっとあって、こんな状態だから
病院に担いで行ったとしても、
待ち時間があるからもっと苦しいと思う。

ってことで往診をやってる先生を呼び、
助けてもらうことに。

｢まーた無理したの？｣

｢そうやって優しい顔して聞くけど、
本当は、仕事増やすなよとか思ってんでしょ？｣

｢思ってないよ！？でも、、、
やっぱり点滴は偉大だね。
ニノくんが嫌いなカニューレもいい仕事してるよ。｣

｢それどーゆーいみ？｣

只今治療に当たってくれている大野先生。
二宮先輩とかなり親しそう。

そばにいて欲しいと言われて飛んできたのに、
これじゃ僕の出番なし。
綺麗に大野先生にかっさらわてしまってるよ。

僕はかれの秘書。

それ以上でもそれ以下でもない。

僕らの関係がもっと近くなることを願い、
大野さんの魔法で眠れた二宮先輩を
隣で見守る、後輩、山田涼介でした。