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｢キスしたら涙が止まるっていうのです！｣
諒はギョッと驚く。
｢まさか…｣
諒は震えながらカゼをみた。
カゼは頷いた。
微かに興奮しているようにもみえる。
｢やってみたら本当に止まった｣
｢すごいですよねっ！？俺、あれ信じてなかったんです！｣
｢ストップ！｣
｢へ？｣
｢は？｣
諒は二人を指差す。
｢お前らバカでしょ！？｣
諒がそう言うと、來夢はキョトンとなったがカゼはキレた。
｢なんだと…｣
｢來夢くんッ！｣
｢は、はい！｣
｢キスされて嫌じゃなかったの！？｣
來夢は今この状況じゃなきゃ諒が確実に癒されるであろう笑みを浮かべながら首を縦に振った。
｢嫌じゃなかったです。カゼは俺の為にしてくれただけだし…。それにあのまま泣き続けてたら諒さんにもカゼにももっと迷惑かけることになってたと思うので。だからそういうことにならなくてよかったなぁって思ってます｣
諒は脱力した。
｢來夢くん…めっちゃいい子。分かってたけど…めっちゃいい子｣
｢いい子じゃないですよ…っ｣
｢來夢、ほっとこう。めんどくさいし｣
｢え、｣
｢おい！俺は怒ってんの！純粋な來夢くんに何てことを…｣
カゼは腕を組んだ。
｢お前が言ったんだろ｣
｢本当にやる奴がいるかッ！バカやろーッ！｣
｢バカはそっちだ｣
｢あの…｣
どうすればいいんだろう…。
ケンカ…なのかな？
ケンカの止め方知らないよぉ…。
カゼは來夢の腕をグイッと引っ張った。
｢戻ろう｣
｢い、いいの？｣
｢アイツは無視しとけ｣
無視って…。
チラッと諒を振り返ると、怒りながら酒を飲んでいた。
｢純粋な來夢くんに…。クソッ！アイツ〜ッ！｣
今はほっといた方がいいのかも…。
來夢はカゼに引きずられながら部屋に戻る。
｢カゼ…｣
｢何｣
｢明日も用事があるの？｣
｢あぁ｣
｢何の用事？｣
カゼは口を閉じた。
言えないことのようだ。
｢…寝る｣
｢…うん。おやすみ｣
カゼが目を閉じたのをみて、來夢もゆっくりと閉じた。
…明日は何しようかな。
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月6日 17時
