12 ページ13
―……―。
体を揺すられ目を開く。
カゼが立っていた。
｢行くぞ｣
｢え？｣
どうやら、食料を買いに行くらしい。
カゼと來夢は部屋を出た。
リビングで諒が新聞を読んでいた。
｢お、來夢くん。おはよう｣
｢おはようございます｣
來夢も挨拶をした。
諒には慣れてきていた。
家を出て、すぐにカゼが口を開いた。
｢金、今はあんまりないしそんなに食えないから。これから二人分になったし｣
｢あ、｣
そういえば、あの時俺、財布も一緒に捨てちゃたんだ。
カゼに自分の分も払ってもらうなんて…。
來夢は少し考えた。
成功するか分からないけど…。
｢カゼ、ちょっとだけここで待ってて｣
來夢はそう言い、すぐ近くにいた男に声をかけた。
カゼは思わず頭を押さえた。
ここは危険な所だと言ったのに、知らないやつに声をかけるとか…！
カゼは來夢を連れ戻そうとしたが、何か様子がおかしいことに気づいた。
男が何故か顔をほんのりと赤くさせながらヘラヘラと笑っている。
カゼの所までは、來夢達の会話は聞こえてこない。
暫くしてから、來夢が戻ってきた。
｢はい｣
來夢は何かを差し出す。
それはお金だった。
しかも、結構な大金だ。
｢何やったんだ｣
｢演技をしただけだよ｣
｢演技？｣
｢そう。キレイ系な大人の女性になりきって｣
言ってる意味が分からず、眉をひそめる。
その時、來夢達の横を通ったさっきとは別の男に來夢は声をかけた。
｢ねぇ？｣
｢あ？｣
男は低い声で振り返る。
知らない人と話すときに來夢は人見知りでつまずきながら話す。
けど、今の來夢は違った。
全くの別人だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月6日 17時
