元、Knights

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Izumi side






〈「雨上がりの空に」この後10時放送です。是非、チャンネルはそのままで、ドラマも一緒に楽しみましょう！〉



〈本日のゲスト、超人気俳優 宮方Aさんでした、ありがとうございました〜！〉










結局、このバラエティも、その後のドラマも、チャンネルを変えることができなくて、──Aくんから目が離せなくて、見続けてしまった。


誰もいない家に、俺のため息が広がる。










Aくんが抜けてから10年が経つ。
10年と聞くと長く思うが、意外と短い。
Aくんのいたライブが、今でも当たり前のように俺の脳に蔓延って、消えてくれない。
Aくんがいた場所は、埋まっているようで埋まっていなくて、俺は無意識に、その空白に目を向けてしまう。















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「なぜいきなりそんなことを言うんですか？！これからだって時に！」




「アンタ、身勝手にも程があるんじゃないの？」




「お姫様たちの気持ち、考えたのかー？」




「嘘よね？気の迷いかなにかよね？」




「こんなの、冗談でも許さないけど」















『冗談じゃない。本気だ。




お前らより大事なもんができちゃったんだ。』






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それだけを言い放って、Aくんは俺らの前から姿を消した。



あの時のAくんの冷たい目は、忘れられない。
いつも優しくて、明るくて、面倒見がよくて、そんなAくんからは想像できないほど、その視線が向けられたら身震いしそうなほど、圧のある目を見るのは、初めてだった。










「嫌いに、なれたらいいのに。」










いつまでだって、俺はAくんから離れられていない。










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