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惨拾弐.契約 ページ25

友斗「…取り合えず、事情は分かった。だが、今から契を交わす事は出来ない。」

『そんな…!』

三日月「どうしてだ、審神者よ。」


あれからすぐに主さんの部屋に行って、事情を軽く説明した。
説明し終わった後、主さんは少し間を空けて云った。


友斗「確かに仮契約だから、霊力の反発は少ないだろう。だが、主を変えて本契約を結ぶ事は難しいんだ。」


それから主さんは本契約について話した。

簡単に纏めると、仮契約から本契約に変えて契る事自体は簡単だ。

だがしかし、それは″どちらとも同じ人間″の時のみにしか当てはまらない。

仮契約を結んだ相手と、本契約を結んだ相手が違うと、かなり面倒らしい。

手続き自体は最初も同じ相手の時と変わらないが、仮契約を結んだ相手にも了承を得ないといけない。

燭台切さんの様な、元ブラック本丸出身で、契を交わした相手がいなかったり、一方的に解いてたら、ドロップ刀剣扱いとなり、契る事は簡単だ。

しかし今回の場合、見習いにも何も説明してないし、私の事を説明する訳にもいかないから、契約するには厳しくなっている。


三日月「何とも……面倒な…」

友斗「三日月が乱を守りたいのは分かってる。だが契約ってのは家電や身近な物みたいにすぐ変えれる訳じゃあないんだよ。」


俺もそれには協力したいんだがなぁ、と主様は呟き、頭を乱暴に掻く。

しかしどうすべきか……主様も新しく三日月さんを鍛刀するしかないのかな?

…あ、


『寄り代を造って、そっちに魂を送れば…』


乱ちゃんに説明された時に聞いた。

刀剣男士は、内側はどうであれ外見や体は同じだから、違う刀に魂を送る事が可能だと。

しかしそれは、自分の分霊だけであり、他の刀剣には出来ない。

そう思い、案を出したのだが、主さんは表情を変えずに云った。


友斗「それにも仮契約した人間の許可が必要なんだよ…野良や契約してない刀剣ならまだしも、三日月には仮だが主がいるし…

しかも三日月は難民が多い。幾ら此処で鍛刀出来たからと言っても、見習いが出した刀剣だから、二振目が来る可能性も低いんだよなぁ…」


そっか、また許可がいるのかぁ……
そういう話は聞いてなかったから困った。

半ば諦めてた時、主様はこう呟いた。


友斗「本霊が許可すれば、仮契約云々関係無しに本契約を交わせるんだがなぁ…」


…この時、三日月さんが悪い笑みを浮かべた。
あー、嫌な予感しかしない。

惨拾惨.噺→←惨拾壱.混乱



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作者名:赤林檎 | 作成日時:2019年2月16日 17時

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