34．笑う鶴には？ ページ37
情緒不安定になったら駄目だ。
きっと、またあれが生えてしまう。
『…せめてこれは、誰かを守る時に出さないと。』
？「へぇ、それって何だよ？」
いきなり声がして、咄嗟に首元を隠して振り向く。
そこには、真っ白な儚い容姿の人がいた。
手にぬめぬめとした感覚がして、また押さえ込む。駄目だ、この人に何もしてはいけない。
？「俺は鶴丸国永。どうした乱、首元に何かあるのか？」
『っ…』
やはり、ばれている。
それも当然だ、振り向く時に首元を手で隠す人なんていないに等しい。
気付かなかったら、余程の馬鹿だろう。
『…鶴丸さん。私は、刀がなくても、誰かを殺める術を持っている。』
鶴丸「…へぇ。」
鋭く目を細める。
夜だからほとんど見えないが、短刀ならではの夜目が効いてしまう為、側に刀があるのが嫌でも見える。
『けど、これは誰かを守る為に使うって、今決めたんだ。…まだ、操れる自信がないけど。』
前世でもろくに使った事がない為、操る以前に自分から出す事も出来ない。
よく情緒不安定になる時に出てしまう。
出そうとしても、出ないのが、オチだ。
鶴丸「そうか。…それならいいが、お前の守る武器をあまり使うなよ？もし、ここで出したら…」
『殺される。分かってるよ、それ位。それに、別に殺されても平気だから。』
確かに、与えてくれた命で生きるのもいいけど、やっぱり呆気なく死ぬのもいいかもしれない。
あんまり自虐は好きじゃないけど、嫌いでもない。
…まぁ、私の事はどうでもいいか。
鶴丸「……そうか、でもここにはお前を殺める奴なんて一人もいないさ。」
『そっか。…鶴丸さん、私はもう戻るね。』
そう言って、自身の部屋の方に向く。
そろそろ収まってきたので、首元から手を離す。
歩こうとした、その時。
鶴丸「お前…中身は人間だろ。どうして付喪神になれたんだ？」
『…さぁ。本霊様にでも、聞いて下さい。』
振り向かず、そう言ってスタスタと歩いていく。
私もこうやって、付喪神になれたのもどうやったのかは知らない。
だったら、こうした人物に聞けばいいじゃないか。
私にとっては、どうでもいい事なんだけどね。
＊＊＊
鶴丸「……本霊様に、ねぇ。」
くつくつと笑って、黄金に輝く瞳で、鶴は夜を見上げる。
まさか、あいつは知らないのか、それとも鈍感なのか。
鶴丸「普通は、分霊は本霊に話し掛けれないんだよ…」
その言葉は、どこか儚げで、美しかった。
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雪雫(プロフ) - 三日月の本霊がきていたから、薬研と新撰組も乱の中身が人間って知っているのでは？むしろ鶴丸の方こそ人間だと知らないのでは？ (2019年12月27日 2時) (
レス) id: 48f7317aae (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - ありがとうございます！更新がんばってください！ (2018年9月29日 15時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 乱→１４５センチ 薬研→１５３センチ 寄って同じくらいではないです (2018年9月28日 21時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
イケ(プロフ) - 12で三日月出てる？ (2018年9月23日 22時) (レス) id: 85ff92ecab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤林檎 | 作成日時：2018年9月11日 23時
