たいせつな。 ページ40
おわった。全てが終わったと思った。
それでもジスから離れたくないと思った。
暗闇の中で、ジスにキスをした。
それはいつもとは意味が、違うんだ。
「ずっと、子供の時からずっと
Aが好きだったよ」
心がじわじわと暖かくなる。
わたしも、ずっと。
「ごめんね、Aは断れないでしょう」
ジスが泣いてる気がした。
見えないよ、この暗闇から一緒に抜け出そうよ。
「僕にとってAは、一番たいせつな女の子なんだ。」
その言葉、なんども聞いたことあるけど
こんなに重く感じたのは今日が初めてだった。
いつもわたしばかりと思っていた。
どうしてもっと、早く分からなかったんだろう。
わたしが苦しいと思った時、
ジスも苦しかったの？
それでも私たちは、そういう関係にはなれないから
ずっと我慢していた。
暗闇に慣れた目がジスを移す。
泣いてる。きっとわたしのせいだ。
お互い、自分の気持ちに蓋をするのが
できなくて。
私たちが幸せになることなどないのに
気持ちを抑えきれなかったせいで。
「ごめん、」
私たちは抱きしめあった。
きつくきつく、もう離さないように。
私がこの世で一番恐れているものは
ジスを失うことだ。
この暗闇から逃げ出したかったけど
いっそ2人で、ずっとずっと溺れていたい。
生まれる前から一緒で、
誰よりも、なによりも大切な存在だった。
ジスを手放すなんて考えられない。
寂しくて寂しくて、
「誰にもばれなかったらいい。」
ジスの甘いその声が私を溶かす。
「僕たち2人の秘密にしよう。」
秘密、私たちだけの秘密。
ジスにきつく抱きしめられていた腕が
緩くなった。
「昔から僕たち2人の秘密は
たくさんあったでしょう？」
「僕はAがいれば、それでいいんだから」
もう何もいらないと思った。
このまま、どこか遠くへジスと2人で行きたいと思った。
私たちの定められた運命は
もう決まっているかもしれない。
それでもいい、それでもわたしは
彼といたい。
ー
ー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 948人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りさ - このお話やばいです。ほんとに。もうドキドキ半端ないし、続きが読みたくて夜も眠れないです笑笑。更新頑張ってください！ (2019年7月31日 1時) (
レス) id: 2327218ebe (このIDを非表示/違反報告)
すーさん(プロフ) - 凄く好き、本当に、 (2018年6月14日 19時) (レス) id: 387114ba65 (このIDを非表示/違反報告)
しし氏(プロフ) - るうさん» るうさんはじめまして！ありがとうございます！私も心臓痛いです（笑）（笑）これからも何卒よろしくお願いします！ (2018年4月2日 2時) (レス) id: 133883db89 (このIDを非表示/違反報告)
しし氏(プロフ) - ヤクさん» ありがとうございます！ (2018年4月2日 2時) (レス) id: 133883db89 (このIDを非表示/違反報告)
しし氏(プロフ) - るっちさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年4月2日 2時) (レス) id: 133883db89 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しし氏 | 作成日時：2017年6月3日 0時
