検索窓
今日:12 hit、昨日:36 hit、合計:273,517 hit

30 ページ30

.









「Aくん、美味しい?」


「はい。」


…流石だなぁ、雪白さん。


雪白さんが勧めてくれたものは全て良い。


「ここ、すごく静かでしょう?よく一人で来るんだよね。」


確かに他のお客さんもいるけど、大きな声で話す人や、集団で来ている人もいない。


小さく落ち着くような音楽が流れているだけ。


「似合ってます。」


「え?」


「雪白さんのことを知らなくても思わず話しかけそうなくらい。」


一度だけゆっくりと瞬きをしていた。


「…それは、嬉しいな。」


雪白さんは目を逸らし、伏せるように目線を下ろす。


長い前髪のせいであまり表情が見えない。









…見たい、かも。


心の中で失礼します、と言って雪白さんの髪に指を滑らせそのまま耳にかける。


「Aくん…?」


「あ…すみません。顔が見たくて…」


「…なにそれ。」


小さく笑った。


…もしかして俺、結構恥ずかしいことしなかったか…?


酔ってんのかな、俺。


雪白さんの目尻が少し赤くなっているのも酒のせいだろう。


「そろそろ帰るぞ。」


ヤクザさんが立ち上がった。


時計を確認すると、二時間ほど経過している。


バーテンダーさんも演劇が好きらしく、古市さん達は話し込んでしまったらしい。


…素人には何言ってるのかさっぱり分からなかったけど。


「お酒、結構強いんだね。」


「そうですか?まぁ、人並みには飲めると思います。」


「今度勝負でもしてみる?」


「…負ける気しかしないです。」


会話が途切れることがない。


雪白さんって意外と話しやすい。話を続けるのが上手いって言ったらいいのかな。









「…A。」


「はい。」


ヤクザさんに名前を呼ばれ、振り返る。


「……。」


沈黙が続いた。


ヤクザさんはきつく口を閉ざしている。


…あれ、聞き間違い?幻聴だった?


「あの…」


「何でもねぇ。」


足早に俺の横を通り過ぎていった。









.

31→←29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (546 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1424人がお気に入り
設定タグ:男主 , A3! , 愛し愛され
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

のりたま(プロフ) - いつ見ても面白いです! 更新楽しみにしてます! (2019年4月28日 23時) (レス) id: dfae553a09 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 神雷さん» いつもコメントありがとうございます(´;ω;`)とても励みになっています(T_T)久々更新のくせに新キャラ出すっていう……w (2018年2月25日 0時) (レス) id: 94ae4b7941 (このIDを非表示/違反報告)
神雷 - お久し振りです!更新、楽しみにしていました♪千景さん登場ですね!とても嬉しいです(*´∀`)♪ (2018年2月24日 19時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 読者専門@人間さん» ( ^o^)<うわぁぁあ!時間置いてすみません(´;ω;`) (2018年2月3日 22時) (レス) id: 94ae4b7941 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます!おみみ!!!早く夢主くんと絡ませたい←です (2018年2月3日 22時) (レス) id: 94ae4b7941 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年1月7日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。