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「珍しいね、Aが遅刻してくるなんて」


無事に入学式が終わり、教室に再び戻ってきた私たち。

さっきの出来事の印象が強すぎて、
先生の話なんて一切頭に入らなかったけど。

でもでも、まさかの新入生代表挨拶をさっきの彼がしていたの。

話に耳を傾けようとしたんだけど、彼との会話と笑顔が鮮明に思い出されて、なぜかあたふたしちゃって、結局聞けなかった。

…こんなスタートでいいのか悪いのか。


「目覚まし早めにかけたんだけど、三十分寝坊しちゃって」

「へえー。Aでも寝坊するんだ」

「ね、私も初めてでびっくり」

「本当めっちゃ注目浴びてたよね」


そう言ってモカは口に手を当てて笑った。

モカは中学時代からの親友で、
おしとやかでかわいらしい女の子。

六クラスあるこの高校で、
奇跡的にまた同じクラスになったのだ。


「う…っ、言わないでよそれ…」

「だってA、すごい恥ずかしそうにしてたじゃん」

「な、そりゃ恥ずかしいに決まってるでしょ…!あんな大勢の前で…!」


モカいわく、私はすごく恥ずかしそうにしながら、
教室に入ってきたらしい。

自覚はなかったんだけど..。


「A以外の全員が来てて、まだよかったんじゃない?ぽつんと一つだけ席が空いてるから、黒板の前まで座席表見なくてすんだよ」

「運がいいのか悪いのか…」


分かると思うけど、こう見えてモカは結構意地悪。

からかい上手というか、でもそこがギャップでいいと思う。

小さく頬をふくらませながら、笑っている羽衣を横目で見る。


「まあ、いいんじゃない?そういう日もあるよ」

「今日じゃなかったら、もうなんでもよかったんだけど」

「初日だもんね」

「うっ、だから言わないでって」


どれだけ意地悪なんだ、モカは…。

美少女のくせに、この小悪魔め…!


「そういえば、最近廣瀬くんとどうなの?」

「えっ、リョウと?なにもないよ」

「え一っ、嘘だあ。春休みにデートでも行ったんでしょー」

「う、そ、それは行ったけど…」


ほらね、やっぱり。

廣瀬くんっていうのは、モカの彼氏。

もう付き合ってから、とっくに一年は経っている。

中学生のときに、付き合った報告を聞いた友達の中で、
モカと廣瀬くんが一番長続きしている。

こんなに続いているカップル、
なかなかいないんじゃないかな。

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作者名:るる | 作成日時:2026年3月14日 0時

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