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ぶわあっと、顔が熱くなる。

それなのに、その瞳から目をそらせなくて。

心臓はありえないほど、速く鼓動を打っている。

…ドキドキ、してる。

ああ、そっか。そうだよね。

私、藤永くんに、ドキドキしてるんだ。

その瞬間、手が、ほんの少しだけ、震えた。


「だから、今俺は、俺のままでいてもいいでしょ?」


その瞳から、まだ逃れることはできない。

だから、もう小さくうなずくだけで精いっぱいで。

それからしばらく、何もできずに、
藤永くんだけを見ていた。

.....のに。


「隙ありっ」

「…えっ?」


突然そんな声が聞こえてきたかと思うと。

藤永くんは私のお弁当箱に手を伸ばして、
残り一つのからあげをつまんで。

ひょい、と自分の口の中にいれた。

あ…!!


「それ、私のだってば…!勝手に食べないでよ…!!」

「ははっ、いいだろ、別に」

「ダメだよっ、せっかく残しておいたのに…っ!」


私は真剣に怒っているのに、藤永くんは笑ってばかり。

…なんなの、もうっ。

少しだけ腹が立って、その肩を軽く叩こうと、
藤永くんの方に手を伸ばす。


「え…っ」


なのに、その手は藤永くんにとらえられた。


「な、なにして…」

「からあげなんて、また今度作ればいいでしょ。てか作って」

「そ、そういう問題じゃ…」


藤永くんは、唇を片方だけ持ち上げて。


「俺に歯向かうの、Aさん」

「は、歯向かうって…。こういう言い合いなら、何回かしたでしょ......?」

「あーもう、うるさいなぁ」

「どの口が言って…っ」


いつもからかったり、意地悪するのはそっちじゃん。

なんで、私が悪いみたいな…。

もう片方の手を伸ばそうとすれば、
そっちも簡単に藤永くんにとらえられてしまう。


「手、離して......?」

「…やだ」

「なんでっ」

「どうせ俺のこと、叩こうとでもしたんでしょ」

「…それは、そうだけどっ」


どうしよう。

藤永くんが触れている両手首が、異様なほど熱い。

藤永くんとの距離がいつもより近くて、
頬もじわじわと熱くなってくる。


「あれ、赤くなってるよ、Aさん」

「な…っ」

「俺に触れられて照れちゃった?」


その言葉が私にトドメをさしたみたいに、
顔がぽんっと一気に熱くなった。

い、言わないでよ…!!

今の藤永くん、いつもより意地悪…。

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作者名:るる | 作成日時:2026年3月14日 0時

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