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視線を落としたまんま、こっちを見ないでそう言った伊野尾くんの言葉は聞き間違いでも何でもない。
「…覚えて…たんだ」
「…忘れるわけなくない?」
「いや、そうだけど…」
耳にかけられた髪の毛がふわりと揺れて、視線がぶつかる。
その瞳は、あの夜と同じような…熱のこもった瞳だった。
「伊野尾くん…」
人一人分ほど空いていた距離をつめて、フライ返しをもっている手を掴むと咄嗟に目を逸らされる。
「…いいの?俺…伊野尾くんの事好きなんだよ?」
「…それこの前聞いたし」
「キスもしたいし、それ以上のこともしたい。…伊野尾くんが受け入れてくれちゃったら、もう止まれないよ?」
俺の言葉に黙り込んでしまった伊野尾くんの手が震えて、髪の毛をかけていた耳が赤く染まっていっている。
…そんな反応されちゃったら、脈アリなんじゃないかなって期待しちゃうんだけど。
「………」
「伊野尾くん?」
この前もそうだったけど、伊野尾くんは言葉で伝えることが苦手のようだ。
俺がもう一度伊野尾くんに触れたら、
それを受け入れてくれたらおっけーだって捉えてもいいかな?
ゆっくりと顔を近づけようとすると、伊野尾くんは潤んだ目を細めて少しだけ顔を上げ、受け入れてくれるような素振りを見せてくれて
内心かなり舞い上がっていたのだけど…
「……あれ、焦げ臭い」
「……え?」
咄嗟にフライパンの方に目を向けるとハンバーグだったはずのそれは、ダークマターと化していた。
「は、ハンバーグがー!」
「伊野尾く…」
「うるせー!あっちいけ!」
………あの。
さっきまでのあまーい雰囲気はどこへいったの。
「ふぇ〜…せっかく作ったのに…」
必死にフライパンからハンバーグを救出しようとする伊野尾くんに何を言っても今は無駄だと思い、泣く泣く引き下がった。
「………まずい」
「美味しいよ!焦げてるところちゃんと切り落としたし!」
はぁ、とため息をついた伊野尾くんはしぶしぶ焦げたハンバーグを口に運び、絶対リベンジする、とぶつぶつ呟いている。
いや、失敗してショックなのは分かるんだけどさ。
肝心な事忘れてませんかね。
話を切り出そうとしているうちにさっさとお風呂へと向かってしまったから、後を追うように慌てて俺も風呂を済ませてあがったら伊野尾くんはベットでスヤスヤと寝ていた。
「そ、そんなことある…?」
俺の声は虚しく部屋に響き渡ったのだった。
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shootingstarhap(プロフ) - supikaさん、読んでくださってありがとうございます…m(_ _)m自信がないので、もし空いてる時間があったら是非、感想くださいm(_ _)mよろしくお願いします(^^)頑張ります(^-^) (2020年6月21日 9時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» 最後まで読んでくださってありがとうございました!昇天しちゃいそうですね〜笑笑 お話書き始めたんですね!読ませていただきました(´˘`*)楽しみにしているので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月21日 9時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 番外編読みました(^^)そうだったんですね…!このこと睫擇気鵑知ったら、昇天しち(いますかね?あー…教えてあげたいです(笑)ずっと書き手さんって凄いと思っていましたが、自分も書いてみて、改めて書き手さんって凄いって思いました!また楽しみにしています(^-^) (2020年6月21日 1時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - musicmans5962さん» そうなんですよ!笑 裏設定でずっと考えていたのですがなかなか出すタイミングがなく番外編にしてみました!睫擇気鵑瓩辰舛磴瓩辰舛禊遒屬任靴腓Δ 笑笑 読んでくださってありがとうございました! (2020年6月21日 0時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
musicmans5962(プロフ) - きゃあ!もうそうなんですねいのさん。いのさんの方が先に睫擇気鵑卜に落ちてたんですね( ´ ▽ ` )きっとそのことを睫擇気鵑知ったらものすごい喜ぶんだろうなあ( ´∀`)番外編も読めて、めちゃくちゃ嬉しかったです!ありがとうございます。 (2020年6月20日 23時) (レス) id: 65437c10de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:supika | 作成日時:2020年5月11日 12時