ハロー！スプリング ym×in

単純思考 ページ40

２人で楽屋に入るといつも通り、相変わらずラブラブだね〜なんてヤジが飛んでくる。

そんなのとっくの昔に慣れていたはずなのに、伊野尾ちゃんは違うようで…。


「う、うるさぁ〜い！！あっち行けーー！」

「いてっ！俺は別になんも言ってないだろ！」


怒って大ちゃんの頭をポカスカ叩いている。
今までは「ふぁ？俺とやまだラブラブだよ〜」なんて言ってたくせに急に照れだすもんだからメンバーも不思議そうにしていた。


「うぅっ、やまだぁ〜もう嫌だぁ、かえりたいぃ」

「伊野尾ちゃん今までずっとテキトーに流してたじゃん、いつもみたいにそうすればいいのに…」

「無理だよぉ、ぐすっ…」


俺の背中にしがみつきグスる伊野尾ちゃんを慰めながら撮影へと向かった。
本当に不思議な人だ、そうゆうところ単純っていうか…。




番組収録を終えて楽屋に戻ると伊野尾ちゃんはソファにうつぶせになっていた。
生気のない声でおれを呼んでくる。


「やまだー、もうかえろぉー…つかれた…」

「はいはい、夕飯何がいい？」

「……ビビンバ」


さっきの収録中にVTRに出てきたビビンバをみて食べたくなったのだろう、単純思考に思わず笑うと伊野尾ちゃんは睨んできた。


「ごめんごめん、材料買うからスーパー寄って帰ろ」


それからしばらくは拗ねた顔をしていた伊野尾ちゃんだったが、スーパーに着く頃にはご機嫌に戻っていた。
子供のように店内をうろちょろして、あっちを見たりこっちを見たり。


「えへへ、トマトも買お〜」


俺が持っているカゴの中に何種類かのトマトを放り投げる。
他にも魚の切り身とかお菓子とか欲しい物をぽんぽん持ってくる伊野尾ちゃんは楽しそうだった。

てか、どんだけ食うつもりなのよこの人。


「そういえば今日やまだのドラマの日だ！」

「あー、そうだね」

「早く帰ろ！！犯人気になってたんだよ〜！」


はやくはやく！と俺を急かしてその場で足踏みする伊野尾ちゃん。
別に録画してるじゃん、ってこの前言ったらリアルタイムで見たいんだよ！って怒られたなぁ。

伊野尾ちゃんに甘々な俺は急いで買い物を済ませてドラマの時間に間に合うように家へ帰った。


「へへ！リモコンリモコン！」


ぎりぎり間にあってテレビをつけた伊野尾ちゃんはコートも帽子も着たまんまだ。
それくらい脱ぎなよ、とハンガー片手にコートを受け取ろうとする。

伊野尾ちゃんはじっとテレビに張り付きながらコートを脱ぎはじめた。

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