ハロー！スプリング ym×in

お腹は減る ページ32

伊野尾ちゃんは俺を押しのけるでもなく、顔を赤らめるでもなく、ただ俺に見つめられたまんま動かなかった。

そうこうしてると、なんだかこっちの方が顔が熱くなってきて、我に返った。

何してんだ、俺…。

耐えきれなくなってパッと目線を外す。
何となくその場に居づらくて「ちょっと台本読んでくるね」と隣の部屋に移動した。


１人になって冷静になってみるとますますさっきの自分の行動は意味不明すぎる。

…ああぁぁ、もう！！！
大ちゃんのせいで余計な事した！

コーヒー明日買って返して貰おう！！


もちろん台本なんて読めず、頭を抱えてベッドをゴロンゴロンしていたらいつの間にか寝ていた。






「……やまだぁ」

「……んんっ」

「やまだぁ、腹減った」

「……え？」


ガバッと体を起こすと、棒立ちで伊野尾ちゃんはベットの脇に立っていてお腹をさすっていた。


「え、伊野尾ちゃん、おはよう…」

「おはよ、もう１１時半。腹減った…」

「えええ！！！」


今日はオフだからアラームはかけていなかったけど…俺そんな寝てた！？
時計の針は確かにその時間を差していた。


「やまだ…疲れてるかなって思って起こすの我慢してたけど…」

「ごごご、ごめん！！いま何か作るよ！！」


急いでベッドから降りると、伊野尾ちゃんは俺のパーカーの裾を掴んだ。
え？何その仕草。くそ可愛いんですけど…。


「いつも山田に作って貰ってるから…俺もなんかする」

「え…でも…」

「野菜切るくらいしか出来ないかもだけど…」


別に料理も俺の好きでやってるんだから、気にしなくていいのに…。
むしろ作らせてください…って感じだけど。

伊野尾ちゃんがどうしてもというから、２人で朝食…というか昼食を作ることにした。

慣れない手つきで玉ねぎを切りながら、目痛てぇ…と涙がポロポロこぼれ落ちている姿が面白くて、可愛くて、思わず笑うとこっちは真剣にやってんだぞ！と怒られた。


「で、できたぁ〜！」


今日は簡単だからいう理由でカレーライスをつくった。
りんごとはちみつとろーり溶けてる感じの。

完成すると伊野尾ちゃんはこれくらいなら次から１人でも作れる！と嬉しそうにしていた。

…もしかして今度作ってくれたりする？？
それは楽しみだな。


テーブルに向かい合って座り、２人でいただきますをした。
伊野尾ちゃんはうめ〜！と頬っぺをリスみたいにして幸せそうにカレーを食べている。

ぎゅってしたいです→←距離感バグってる

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