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由利の助けがなかったらどうなるのか。
登校中、バスの中でずっとそのことを考えた。
今まで彼女がしてきたこと。
彼の写真を送ってきたこと、こっそりバレー部を見に着いてきてくれたこと、ポスターを描くためにバレー部の見学に着いてきてくれたこと。
どれももう済んだことで、あまり彼女の助けはいらないんじゃないかと思う。
けど、もしものときのために保険をかけておくのは悪くないと思う。
バスを降り、校門を通ると偶然にも彼女の姿を発見する。
「由利、おはよ」
「ああ、おはよ」
いつもより少し眠たそうに軽く欠伸をしながら、挨拶を返してきた。
今言ったら、普段よりは許してくれる確率高いかも。
「ねえ由利、昨日はごめんね」
「……昨日?…………ああ、手伝わないってやつ?」
「そう。由利怒ってなかった?」
すると彼女は眠たさからか、少しムッとし始める。
「怒ったって言うか、ただ単にイライラしただけ」
イライラする?
どこにそんなところがあったのか、考えても彼女がイラっとするところは、私が彼女を可愛いと褒めたくらいだ。
「もしかして、私が由利のこと可愛いって褒めたこと?」
すると、彼女の表情がさらに険しくなる。
「褒めたって言うと聞こえが良いね。でも、あれは皮肉が混ざってるように聞こえた」
「確かに、少し皮肉気味に言いました。すみません」
可愛い由利には分からない。少しは自分が可愛いことを自覚しろ、なんていつも思ってる。
だから、単純に褒めただけじゃないことは認める。
謝る私をじろりと見て、視線を戻すと「それと」と彼女は口を開く。
「ちょっと失礼になるけど、諦めてるのかなって思った」
「諦めてる?」
そう聞き返せば、彼女は言葉を続ける。
「うん。私は可愛くないからどう頑張っても彼を振り向かすことは出来ない。到底あの可愛い子には勝てっこないって思ってそうだなって」
確かに、そう思ってた。
彼と自転車で帰るまでは。
「確かに、そう思ってた。けど、今はそんなこと思ってないよ。私、諦めないよ」
そう口に出して、やっと私の中で決意が固まった。
じっと見つめる彼女がふっと微笑む。
「おはよう」
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京ちゃん。(プロフ) - 無理やり完結した感じになってしまい申し訳ありません (2020年2月22日 21時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 更新遅くなりすみませんでした (2019年8月20日 21時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます!訂正しました (2018年12月5日 12時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 天童さんの一人称は確か僕じゃなくて俺ですよー (2018年12月4日 22時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ふじもん(プロフ) - 京ちゃん。さん» いえいえ!むしろ上から目線申し訳ないです(-_-;) (2018年9月29日 23時) (レス) id: 9aa2f2467a (このIDを非表示/違反報告)
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