The winner is ...【跡部景吾】 ページ21
貴「失礼します」
跡「待ってたぜ」
貴「＿＿＿始めましょうか」
張り詰めた空気の中、私は思考する。
一手二手先、相手の裏……そのまた裏までを予測するのだ。
貴「初手はナイトで攻めます」
私は駒を前へと動かした。
合宿以来、私は跡部さんとチェスの決着をつけるために跡部の家へ通っていた。
ここへ来たのは両手では数え切れない。
勝敗はいつも引き分けだった。どうも決着がつかない。ゲーマーとしては悔しすぎる。
ミカエル「坊っちゃま、A様。そろそろ休憩を取られてはいかがかと」
そんなに時間が経ったのだろうか。
ミカエルさんが紅茶とお菓子を用意してくれたみたいだ。
跡部さんが休憩を取り始めたので、私はそれに倣って紅茶に口をつけた。
跡「なかなかやるじゃねーの」
貴「跡部さんこそ」
跡「……ゲーマー。賭けをしねぇか？」
賭け、という言葉に胸が躍った。ワクワクする。
跡「負けた方が、勝った方の願いを叶える
……っていうのはどうだ？あーん？」
貴「構いませんよ。私に跡部さんの願いを叶えられるか分かりませんけど。……それに、この対決も最後ですからね」
跡部さんは目を見開いてこちらを見た。
私は目が合わないように、紅茶に映った自分をぼんやりと眺めていた。
跡部さんからの言及がなくて一安心だ。
私はこのチェスの対決を今日で最後にしようと思っている。高校生になる跡部さんは忙しいだろうし、テニスの邪魔をしたくない。
でも、勝ったら……これからも少しだけ跡部さんの時間を貰いたいと思う。
跡部さんの邪魔をしない程度に。
跡「敗因を教えてやる」
貴「……え？」
それはチェスを再開してしばらく経った時、跡部さんがそう口にした。
……敗因？どういうことだ？
・
跡「それは
＿＿＿俺様を好きになったことだ」
思考が、停止する。
跡「チェックメイトだ」
キングが取られた。
こんなにもあっさりと取られるなんて。
……跡部さんが変なこと言うからだ。
パニックで何も考えられなくなった。
・
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かるぴん(プロフ) - 面白くて一気読みしました！ (2021年4月20日 19時) (
レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2019年8月28日 20時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
たかみん(プロフ) - 続編来たー！続き楽しみにしてます！ (2019年8月27日 17時) (レス) id: 97bce99ed8 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - 続編おめでとうございます！！まさかの推しルートでワクワクが五割増しです笑笑これからも応援してます！ (2019年8月26日 1時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらの | 作成日時：2019年8月24日 21時
