貴族との出会い2 (ページ25)

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[貴女side]

姫、といつものように私を迎え入れてくれる涼太さん

もう諦めなきゃと連絡の頻度も減らして好きじゃなくなる努力をしてたのに、この一瞬で今までの努力が水の泡となる

彼の部屋に入ると大好きな香りに包まれる

どうしたって大好きで、そう思う度に胸の奥が苦しくなる

『お邪魔します』

そう言うと、

宮舘「ただいま、じゃなくて？」

と、私の顔を覗き込んで微笑む

『…ただいま…です…』

ぎこちなく言うと、うん、と私の頭を撫でる

あー

諦めるなんて無理

もうこんなに好きになっちゃったんだもん

もう、当たって砕けてしまった方が潔く諦められる気がする

リビングに行くと、出汁の香りがした

『今日は和食ですね？』

宮舘「正解、たまには和食もいいかなって思ってね」

『うふふ、楽しみです！準備しましょうかっ』

涼太さんは再び鍋に火をかけて温め直し始める

なにか手伝おうとキッチンに入ると、

宮舘「姫は今日は何もしない日ですよ、ゆっくり休んでて」

と言って何もやらせてもらえなかった

なので隣で彼を見守ることにした

温め直す間、少し時間がかかるからともう1品作り始めた

宮舘「見られると照れちゃうな…笑」

『やめた方がいいですか？笑』

宮舘「んーん、俺だけを見てて」

心臓が持たない

涼太さんと出会ってからはずっと貴方しか見てないですよ

好きになっちゃいけない人なのに

アイドルの涼太さんとして出会ってたらこんな好きになってなかった

ファンとして好きになるのと、一般人だと思って好きになるのって違うと思う

私だってアイドルだって知ってたら、本気で好きだとしても現実味がないって諦められたけど

一般人だと思って出会って好きになっちゃったら諦められないじゃない…

ステージに立って歓声を浴びる涼太さんは、私の知ってる涼太さんではなかった

絶対に手の届かないアイドルなんだって思った

今隣にいる涼太さんとは別の人だった

だから急に涼太さんが遠い存在に感じるようになった

住む世界が本当に違うんだって

"本気で"好きになってはいけない人だったんだって

嫌でも気付かされた

こんなに好きなのに

宮舘「Aちゃん…！？」

名前を呼ばれてハッとした

宮舘「どうしたの…？」

涼太さんは親指で私の涙を拭う

私、泣いてたんだ