泣いてもいいですか。

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雛「はい。これで止血は出来ました。あとは毎日包帯を変えて薬を塗っていれば一か月で治りますよ。」

『ありがとうございます。』

あたしは上半身だけを露わにして手当てしてもらった所を包帯の上から撫でる。

『ごめんなさい。こんな夜に…。』

雛「気にしないで。疲れているでしょう？」

『いえ。あたしなら平気です。』

雛「でも一回の任務だけでも相当疲れるのは事実でしょう？天元様もいつも言うわ。」

…確かに柱が動く任務はそれなりに強い鬼じゃないと動かない。

でもあたしは…。

『あたし、体力には自信があるんです。』

雛「ふふっ。確かにAちゃんは体力が見た目に反してとてもあるわね。特殊体質？」

『普通の人です。』

すると面白そうに笑う雛鶴さん。

雛「本当にAちゃんは面白いわね。」

『いえ、そんなことないです。』

雛「何かしらね？行動？発言？全部？」

『雛鶴さん…。』

雛「ふふっ。ごめんなさい。」

美人って本当にずるい。

笑えば気持ちが和むと言うか。

落ち着いてくる。

だから強く言えない。

『それじゃあ手当てもしてもらったので失礼します。』

雛「え？もうこんな時間よ？女の子一人は危ないわ。今日は泊まっていって。」

『いえ、もうこれ以上迷惑をかけるわけには…。』


宇「んなこと気にすんな。」


声と同時にあたしの体を一気に覆えるほどの羽織があたしの上半身を隠した。

びっくりして振り返ると…。

『宇髄さん…。』

宇「実は暗いとこが怖いの知ってんだからな。」

そう言いながらあたしの頭を優しく撫でてくる宇髄さん。

宇「一人も怖いなら嫁達と寝ればいい。それでも怖いなら俺が…。」

『大丈夫です。』

宇「即答かよ。」

こんな美人なお嫁さん三人もいるのにあたしと寝るなんてありえない事を言う。

あたしは今まで誰かと付き合った事もなければ好きな人も出来たことがない。

そんなあたしが宇髄さんと一緒に寝る？

絶対にそれだけはいけない。

『あたしも…”仮でも”柱です。夜道暗いのなんて平気です。』

宇「へぇ。じゃあAの…。」

『ひっ！』

あたしは宇髄さんの羽織を握りしめる。

宇「嘘だわ。やっぱり怖いんじゃねぇか。」

『…。』

雛「Aちゃん？」

宇「やり…すぎたか？」

二人ともあたしの顔を覗き込む。

雛「…寝てますね。」

宇「恐怖でな。…たくっ。俺様の羽織握りしめやがって。こっちの気も知らねぇで。」

雛「いじめすぎちゃダメですよ。」

宇「…おー。」

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