助けた白熊 ページ16
「ま、待って!」
そう言ってローと私のコートを白熊に掴まれる。
「なんだよ」
「あの、助けてくれてありがとう……おれ、怖くて……なんも抵抗できなくて」
「別に。アイツらが絡んできたから、返り討ちにしただけだ。お前を助けたわけじゃねェよ」
「それでも、それでも!すげぇ、おれ嬉しかったから……」
『そっかそっか。怖かったよね』
そう言って白熊君を撫でてあげると彼は涙を流しながら、嬉しそうに笑った。
しかし、どうにもコートを離してくれる様子は無く、ローは仕方なく、といった様子で近くにあった洞窟に入って話をした。
**
「お前、なんでやり返さなかったんだよ。白熊だろ?あんな連中に、力で負けたりしねェだろ」
確かに、人間対熊なら熊に軍牌が上がってもなんら不思議じゃない。
「あいつら、話しかけてくれたんだ」
『それで…?』
「友達になれるかもしれないって、思ったんだ」
「はあ?お前、殴られながらそんな事考えてたのか?」
「うん、抵抗しないで大人しくしてれば、仲良くできるかもって、そう思って」
友達
初めて聞く言葉
『ロー、友達って何?』
「え、と……一緒に遊んだり、飯食ったり……一緒にいて楽しい奴、とか?」
ローでも説明が難しそう。友達とは、そんなに難儀なものなのだろか。
それにしても何故、この子はここにいるのだろう。
「お前、この辺りに住んでるのか?」
この質問はローも同じ事を考えていたらしい。
「ううん、この島に来たのはつい昨日だよ。知り合いもいないし、住むところもない」
「どこで暮らしてたんだ?」
「えっと、新世界って知ってるか?」
「あぁ、聞いたことある」
新世界……私がいたマリージョアよりも先にある海……私が求めていた外の世界……
『って…もしかして、君、その新世界からここまで来たの!?』
そう言うと白熊君は頷いた。
ここ北の海からはかなりの距離があるはず。
それに気流や天候だって、新世界ではあらゆる常識が通用しないって、ヴォルフさん言ってた。
それをどうやって、
「お前、自分で船を動かしてきたのか?」
「そういう訳じゃないよ。ちょっとは航海術も勉強してるけど……えっと、ゾウの島ってのが新世界にあるんだ」
「ゾウの島?変な名前だな、そこの生まれなのか」
「うん、俺たちはそこで暮らすミンク族っていう種族なんだ。ゾウでの暮らしは平和で、家族も仲良かったんだけど、ある日急に兄ちゃんがいなくなっちゃたんだ」
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とちょう(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» よめちゃん読みに来てくれてありがとうー!!!!!頑張って続き書くー!!! (2022年10月2日 19時) (レス) id: 9c17a4ec76 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - とちょーちゃん〜🌠読みやすくてすっごい好き!!無理しないで頑張って🎉続き楽しみにしてます! (2022年10月2日 19時) (レス) id: 4de2fab171 (このIDを非表示/違反報告)
とちょう(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!トラ男落ち目指して頑張ります!! (2022年9月18日 12時) (レス) id: 9c17a4ec76 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか?できればトラファルガーローオチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援してます。 (2022年9月18日 12時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とちょー | 作成日時:2022年9月17日 20時