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「…これで終わり」
俺これ以上知らないし、と言って横原先輩が指を離す。最新曲の5つ前を弾き終えた所で、私は拍手を送る。
「凄い……かっこいい……」
「次、お前が弾いてみ」
急にそう言われて、え？と聞き返す。
先輩はピアノの蓋を降ろしながら私の指を見る。
「さっき指動いてたじゃん。口ずさんでたし」
楽器やってる人は口でリズム取る人多いから、と呟く。
…バレてた、と思いながら音楽室を見回す。お目当ての楽器を見つけると、それを両手で支えてケースごと横原先輩に手渡す。
「元吹奏楽とかか」
「中学の時に3年間だけですけど…」
かちっと音を立てて、ケースが開く。
中からはまだ使えそうなフルートが出てきた。
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作者名：霰恋 | 作成日時：2021年8月13日 19時
