E n c . 協奏曲 (ページ3)

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「………えっ、」

音楽室のドアを開けた途端、ピアノがぷつりと音を切らす。

「なに」

その代わりに返ってきたのは、無駄にいい塩顔イケメンの嫌そうな顔だった。

「あ、いや、今ここからUNCALLが」
「ああ」

GIFT for U？

その言葉に首を振る。

「凄く綺麗なピアノだったから」
「当たり前でしょ、俺に弾かれてたんだから」
「はい、凄いです」

「素直かよ」と笑ったその人が立ち上がる。

上履き代わりのスクールサンダルに書かれた"横原'って文字と紫色で3年生だと理解した。

「で、どうかした？」

ピアノを褒められたのが嬉しいのか、少し柔らかくそう言った横原先輩の声で思い出す。

「家庭科室ってどこか分かりますか？」
「ここ真っ直ぐ行って左」
「ありがとうございます色々、」
「はいはい笑」

音楽室のドアを閉めると、またピアノの音が響く。

こっそりと窓から覗いた教室の中では、優しくピアノを奏でる横原先輩が居た。