winter127 死の恐怖 ページ30
★オビside
ミラ「Aは１０歳のころ……
一度命を絶とうとしている」
オビ「！」
息を呑む。
王妃は瞳を揺らした。
命を絶とうとした？自ら？
ミラ「私たちがあの子に涙花病のことを伝えた３日後だったか…崖から飛び降りようとしたのだ」
オビ「そんな……」
ミラ「無理もない。まだ１０歳だったからな。あと１０年しか生きられない死の恐怖なんて、私には想像もつかない」
大抵の生き物は、自分がいつ死ぬかなどわからない。
だから皆、笑いながら生きていられる。
死の恐怖を忘れて生きていられる。
だけど、A嬢は、自分の残り時間を知ってしまった。
わずか１０歳で。
ミラ「あの子は、強そうに見せているだけで、本当は誰よりも脆く弱い。かっこつけは親譲りだな」
やんわりと微笑むと、蒼色の瞳で俺を捉えた。
ミラ「だからな、オビ……」
その美しさに引き込まれる。
ミラ「Aを、よろしく頼む。あの子にはお前が必要だ」
オビ「…………はい」
ゆっくりと、深く頷く。
俺が彼女にしてあげられることなんて、もう何もないかもしれないけど……傍にいたい。
最後のその瞬間まで、隣で手を繋いでいたい。
君が遠くへ行ってしまうと、わかっていても。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌朝
『お昼ごろから式典だから、それまで城下を案内するね』
朝食を摂った後、さっそくみんなでイルメリアの街へと繰り出した。
皆、といっても、イザナ殿下はもちろん城の中だ。
「A様！お久しぶりです！！」
「王女！りんご持ってけよ！」
「ぜひこのパイを皆さんで」
ただ歩いているだけなのに、次から次へとA嬢のもとに人が集い、あっという間に人だかりができた。
皆、笑顔で彼女に話しかけ、彼女も笑顔でそれに応える。
白雪「すごい……大人気だね」
ミツ「あいつには人を惹きつける魅力があるからな」
木々「優しくてあたたかい人柄もね」
オビ「たくさんの人に、愛されているんですね」
大勢の人に囲まれながら、笑顔を咲かせるA嬢を見て、
何故だか胸が苦しくなった。
『ごめんね待たせちゃって！』
オビ「そのパイとかりんごとか、お持ちしますよA嬢」
ゼン「とかいって、お前それ全部１人で食うつもりだろう」
オビ「やだなあ主。
俺はそんなに食い意地張ってませんよ〜信用ないなあ」
『フフフ…じゃあ、オビを信じて任せるね』
．
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
