winter126 東屋の下で ページ29
★オビside
キース「気を取り直して…イルメリアの国王、キースだ。
騒がしくしてしまって申し訳ない。長旅ご苦労だった」
茶髪と、威厳にあふれる口ひげ。
そして優し気な瞳。
国民から絶大な人気と信頼を得る王様。
噂はかねがねだ。
キース「ここにいる者たちは皆、Aの病気について知っているらしいな」
ギル「はい。
先日、私と妹のほうから直接話しました」
キース「ならば私からひとつ言わせてくれ」
国王はその眼差しをより一層優しいものにして、
あたたかな声でこう言った。
キース「娘の命は残りわずか。だからどうか、思い出をたくさん与えてやってくれ」
キース「どんなに遠く離れようと、長い時間会えずとも、色褪せない思い出を」
王妃が静かに目を閉じるのが、視界の端で見えた。
キース「私が言いたいのはそれだけだ。
明日は式典がある。今日はゆっくり休むといい」
オビ「式典……？」
『そう。別れの儀式』
彼女は自嘲気味に微笑んだ。
A嬢によるとそれは、涙花病を患った王族がいる年にする儀式のことらしい。
ただし表向きはただの病で、涙花病のことは伏せられている。真実を知るのは王族のみ。
『部屋に案内するから、ついてきて』
◆◇◆◇◆◇◆
１人では広すぎる個室が、全員に与えられた。
部屋の中を物色していた俺は城を探検することにした。
ただし、こんな時間に歩き回っていると怪しまれるから、衛兵に見つからないように姿を隠しながらだ。
完全にお尋ね者だなあと苦笑いを浮かべながら歩いていると、水色の東屋を発見した。
オビ「…おや」
どうやら先客がいらっしゃるようだ。
オビ「こんばんは。綺麗な月夜ですね」
お得意の笑みを浮かべて近づく。
月明かりに照らされ
白い薔薇を愛でる王妃が見えた。
その絵画のような美しさに、不覚にも胸の高鳴りを覚える。
ミラ「フフ…やはりお前か」
オビ「？」
ミラ「なんとなく、お前が来るような気がしたのだ。さあ、こちらへ。少し話をしようではないか」
彼女に促されるまま東屋に入り、少し距離を取って座る。
オビ「……」
ミラ「……」
沈黙が流れる。
けれど、不思議と嫌な感じはしなかった。
ふと、王妃が口を開く。
ミラ「オビ。
お前には、いろいろ教えておかなければならぬな」
オビ「？」
柔らかに微笑むと、彼女は話し始めた。
A嬢の過去を。
winter127 死の恐怖→←winter125 あたたかい
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 744人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
