autumn119 辛すぎる現実 ページ22
☆Aside
甲板に出ると、神妙な面持ちをした皆がいた。
いつも穏やかな表情をしているミツヒデや白雪の顔も、沈んでいる。
『お待たせ』
ゼン「ギルどのは……」
『ごめんなさい。今は一人にしてあげて』
あの人は、自分が弱っている姿を誰かに見せるのが一番嫌いだ。
それが家族であっても、心の底から嫌がるのを私は知っている。
「人の上に立つ存在だから、どんな時でも強くなければいけないんだ」
いつだったか、まだ幼い私にそう語ってくれた。
ラジ「なあ、お前は本当に涙花病を患っているのか？」
唐突に口を開いたラジに対して、落ち着いた声で話し出す。
『本当だよ。
兄上が話したことはすべて事実』
白雪「そんな…信じられないよ……Aが、もうすぐ…」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿広がる沈黙
顔を見ればわかる。
皆、現実から目を背けようとしている。
私がもうすぐ死ぬはずないって。
『………』
深く息を吐きだして、覚悟を決めた。
皆に背を向け、シフォン素材のシャツを、上へと持ち上げる。
途端、露わになったのは、肌と＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「「「！！！！！」」」
『これが、兄上の話がすべて事実である証拠』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇
★オビside
A嬢の背中に、一輪の花が咲いていた。
紫色の、小さな花。
それは、彼女の背中に根を張り、残酷に輝いていた。
『そういえば、まだ話していなかったね。
私が何故、海の鉤爪に狙われていたのか』
シャツをゆっくりと下ろし、感情の読み取れない表情で、彼女は語る。
『私が死ぬ瞬間、体から“ある花”が咲くらしいの。
言い伝えによるとそれは＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿花の神の涙
奴らの狙いはそれで、どこかの貴族に売り払おうとしていたみたい』
まるで他人事のように、空っぽの言葉を口から吐き出す。
A嬢が強がっていることは、一目瞭然だった。
「「「………」」」
皆、何も言わなかった。何も言えなかった。
現実が、あまりにも辛すぎた。
気を抜くと、床に崩れ落ちてしまいそうだ。
泣き出してしまいそうだ。
A嬢が、もうすぐ消えるだなんて………
と、その時、1人の衛兵がやってきた。
もうすぐ船が到着するとのことだ。
ラジ「全員に個室を手配してある。
今日はゆっくり休んでくれ」
．
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
