winter150 秘密の花園 ページ3
★オビside
月明かりが照らし出すは、息を呑むほどの光景。
時が、止まった。
眼前を埋め尽くすのは鮮やかな花々。
何十、何百、何千＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ふわり、風が動いて、ざわざわと波を描く。
それに突き動かされるようにして、俺は花園の中心へと向かった。
赤、青、黄、白、紫、ピンク、オレンジ＿＿＿＿＿
＿＿＿まるでこの世界のすべての花をここに集めたみたいだ。
美しく、可憐で、彼女の顔がちらつく。
そうして、秘密の花園の中心へとやってきて足を止める。
オビ「……っ…は」
数秒眺めていただけだったのに、頬を雫が伝った。
無意識に。
＿＿＿＿＿そこには、一本の枝垂れ桜があった。
淡いピンクの枝は
天まで届いてしまいそうなほどに高い。
狂ったように美しく咲くそれに圧倒される。
夜桜を見るのは初めてだった。
儚く、幻想的で、これはすべて夢だと錯覚させられた。
オビ「…なん…で…っ」
あの日を境に枯れたとばかり思っていた涙が、
次から次へと溢れてくる。
自分でも何故泣いているのかなんてわからなかった。
“あなたに微笑む”
その言葉通り、彼女が俺に笑いかけてくれているような気さえした。
オビ「………A…っ
…あんたに会いたい…」
巨大な幹の前に泣き崩れた。
今まで抑え込めていたはずの感情が流れだす。
もう一度だけでいい
俺の名前を呼んでくれ。
花のような笑顔を咲かせてくれ。
そんな、叶いもしない願いを連ねる。
涙の止め方を忘れてしまったみたいだ。
自分が自分でなくなっていきそうな感覚にさえ襲われる。
オビ「…！？」
かすむ視界の中で、ふとあるものを見つけた。
それは木の根元のくぼみにあった。
まるで、誰かをずっと待っていたみたいだった。
涙をそっとぬぐいながら、ゆっくりと手に取る。
オビ「手紙…？」
＿＿＿＿＿＿Aからの、最期のメッセージだった
・
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名無し67465号(プロフ) - 号泣しました。素敵な作品をありがとうございました。何度も読み直しにきます。ありがとうございます (10月25日 2時) (
レス) @page7 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - すごく感動して、心にグッとくるお話でした。ハッピーエンドの作品だと思ってみたら、すごく悲しいエンドで衝撃的だったけど、作者さんのコメントを見てすごく納得しました。この作品を作ってくれてありがとうございます。この作品に出会えて良かったです(><) (2022年1月1日 8時) (レス) @page16 id: 740eade1e6 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 1日で全て読んでしまいました…笑 読み進めていく度に号泣してしまいました…明日は目が腫れますね笑 素敵な作品に出会えて良かったです！ありがとうございました！ (2021年12月22日 0時) (レス) @page7 id: 45dc289628 (このIDを非表示/違反報告)
イヌイット(プロフ) - 号泣しました。心に響く素敵な作品をありがとうございました。 (2021年9月23日 4時) (レス) @page7 id: 4f33071aee (このIDを非表示/違反報告)
菜月 - とても感動しました！心に響いて涙が溢れ出しました…、、ありがとうございました^_^これからも応援してます！ (2021年6月9日 17時) (レス) id: 6961366fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2019年3月24日 1時
