Episode53 新しい世界へ ページ7
★勇利side
「「「ええ…何はともあれ、温泉on ICEは勝生勇利選手の勝利で幕を閉じました！皆さん盛大な拍手を！！」」」
わぁあぁああと湧き上がる歓声。
嬉しくないわけではなかったが、先ほどから心が痛む。
＿＿＿今ここにいない彼女を想って
ヴィク「元気がないねえ、勝ったのは君だよ？
何故そんな顔をする？」
控室に戻った途端、ヴィクトルが心配そうな顔で僕を見つめた。
答えはわかりきっている。
だけど話す気にはなれなかった。
勇利「ごめん……ただ
僕はまだまだ子供だなって思っただけだよ」
きっと2人は今一緒にいるんだろう。
その光景を想像するだけでいたたまれない。
勝ったのは僕なのに、どうしてこうも負けた気がするのか。
ヴィク「迷える子羊ちゃんに
ひとつアドバイスをしてあげよう」
勇利「？」
ヴィク「欲しいものは自ら手を伸ばさないと手に入らないよ。欲しいのなら見栄も恥もすべて捨てて掴み取るべきだ」
勇利「ヴィクトル…」
ヴィク「それが他人のものでも、俺なら奪い取る。
身も心もね」
妖しく微笑む色男。
その言葉で、身体が軽くなった気がした。
勇利「…ヴィクトル、僕…絶対金メダル取るから」
もう引き下がらない。
勇利「GPFの金メダルで、僕の愛を証明するっ！！」
Aは渡さない。
◆◇◆◇◆◇◆◇
☆Aside
「じゃあ、もう行くね」
アベルとの約束の期間が終了し、スペインへ旅立つ日がやってきた。
今は空港の前でヴィクトルと勇利と最後の挨拶中だ。
勇利「また、会えるよね？」
勇利は凛とした眼差しでそこにいた。
ヴィクトルは、なんだか誇らしげだ。
「言ったでしょう？
あなたが望めば、どこへだって飛んでいくって」
そう答えると、彼は穏やかな笑みを浮かべた。
次会うときは、お互いびっくりするほど成長しているはず。
ヴィク「…無理は禁物だよ」
愛おしそうに私の頭を撫でる手つきは手馴れている。
だけど、いつもとは違う真剣な瞳だ。
不覚にもどきどきしてしまった。
「ありがとう。でもごめんね
今無理しないと一生後悔する気がするの。それに…」
一緒に金メダルを取ると、約束した。
あの日。あの海で。彼と。
ユリオと一緒なら、どこまでもいける気がする。
どこまでも走れる気がする。
もう何も怖くない。私はきっと変われる。
ヴィク「？」
「ううん…何でもない！またね」
背を向け、私は新しい世界へ飛び込んだ。
続く (更新停止中)
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野坂くん尊き - 更新楽しみにしてます！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 5271d69b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱいや - 更新楽しみにしてます！もう２年経っちゃってますが、更新本当に本当に楽しみにしてます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇ころりん - 面白いです！頑張ってほしいです！あと、番外編とかもつくってほしいです！長々とすみません！！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 16d54f5e21 (このIDを非表示/違反報告)
カノリン(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！！！ (2017年7月5日 12時) (レス) id: 80f353bf49 (このIDを非表示/違反報告)
閑古鳥(プロフ) - 面白いです。続き楽しみにしています！ (2017年7月4日 23時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2017年4月7日 23時
