Episode52 お前が欲しい ページ6
☆Aside
ユリオ「A聞け！」
「は、はい！」
今度は一変して真剣なまなざしを向けられた。
表情がころころ変わる人だなあ。
ユリオ「今日は負けちまったが、俺はもっともっと強くなる。強くなって、GPFで絶対優勝する…
…だから！」
エメラルドの瞳に吸い込まれそうになる。
ユリオ「俺のことだけ見てろ。
ほかの奴なんて目に入らないくらい
いい演技するから」
照れくさそうに、でも真摯に彼はそう言った。
自分の負けを認めて、前に進もうとしているユリオは眩しかった。私にその決意を宣言してくれたことが、何故だかとても嬉しかった。
彼のその言葉が独占欲からきているだなんて知らずに、私は深くうなずく。
「うん…！
私も、負けないから」
ユリオ「！！！」
途端、ユリオの顔が真っ赤に染まる。
熟れたりんごのように。
でも、何故？
ユリオ「…不意打ちすぎんだろ」
「え？」
ユリオ「…っんでもねえ！
じゃあな、ダスピダーニャ！」
がらがらとスーツケースを引きずって、彼は行ってしまった。
今頃会場はどうなっているだろう？私もユリオも姿を見せないから、多少の騒ぎにはなっているだろう……勇利にも申し訳ないことをした。
だけど、さよならが言えてよかった。
・
“俺のことだけ見てろ”
「……っ」
胸が、疼いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
★ユリオside
飛行機に搭乗し、離陸するまでの間窓を眺める。
先ほどからずっと体が熱い。
あいつのせいだ。
ユリオ(…笑顔、初めて見た)
“負けないから”
そう言った彼女は、心から嬉しそうに笑っていた。
そう、笑っていたんだ。
自分が笑っているということに気が付いていないみたいだったが。
自分には心がないと言っていた。
笑い方も泣き方も、何もかもわからないと。
溶け始めている。
Aの氷のような心が……
その要因が何かは定かではない。
あのメガネの演技か
それとも俺の言葉か
はたまたヴィクトルが何かしたのか。
もっと溶けてしまえばいい、と思う。
もっと感情を見せて欲しいとも思う。
だけど
ユリオ(ほかの奴には見せたくねえな…)
あいつの涙も、笑顔も
知っているのは俺だけでいい。
自分でも呆れるくらいに
どんどん想いが強くなっていく。
・
＿＿＿＿俺だけのものになればいいのに
増幅していく欲望に、また溜息を吐いた。
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野坂くん尊き - 更新楽しみにしてます！ (2019年12月23日 17時) (
レス) id: 5271d69b7b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱいや - 更新楽しみにしてます！もう２年経っちゃってますが、更新本当に本当に楽しみにしてます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇ころりん - 面白いです！頑張ってほしいです！あと、番外編とかもつくってほしいです！長々とすみません！！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 16d54f5e21 (このIDを非表示/違反報告)
カノリン(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！！！ (2017年7月5日 12時) (レス) id: 80f353bf49 (このIDを非表示/違反報告)
閑古鳥(プロフ) - 面白いです。続き楽しみにしています！ (2017年7月4日 23時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2017年4月7日 23時
