9.奪われる ページ10
「独り占めは許さないぞ。
ただでさえ錆兎がAに触れていて気が気でないのに口付けまでも先に渡すわけにはいかない。」
「義勇こそ、さっきからずっと抱きしめてるだろう。はっきり言ってずるいと思う。俺だってAをめちゃくちゃに可愛がりたいんだ。そこは許せ。」
あんたらなんの口論してるの、言葉で私を殺すつもりなのか、え?どっちが先にキスするとかどうでもいいのよ、とりあえず離してくれません?
そう今すぐにでも口に出して叫んでしまいたいのに生憎、義勇の手に口を塞がれているもので何も言えないのである。
なんという屈辱か…
というか、勝手にお話進めないで欲しいのだけれど。
なんて願い叶うはずもなく行く末を見守っていたのであるが、ここで私はあることに気がついた。
私ったらどうして今逃げないのかしら。
よくよく思えば2人とも隙だらけなのに。
なんか…されるがままなのもアホらしくなってきたわ。
そう思うや否や、そろりそろりと抜け出すべく口を覆われた手をゆっくりと退け、それに成功したと思いきや、その手は急に動き始め私の頬を包む。
あれ。
そんな間抜けな言葉が脳裏を過ぎった瞬間、私の唇にしっとりとした暖かな感触が触れたことによって、抜け出し作戦が失敗したことを悟った。
なあに、これ。義勇の顔、近すぎてぼやけてる。まつげ長いなぁ、肌もつやつやだ〜。唇もちょうどいい柔らかさで……………
『んんっ!?』
なにこれなにこれなにこれっ!!口っ!!くっついてる!!つまり!?これがキスでございますかっ!?
そう、今更気づいた私は余程のアホなのだろうと改めて気づいた二十二歳の冬でした。
ってそんなこと考えとる場合か!!
何故こんな状況に!?あれですか!私が逃げようとしたから罰が与えられたのでしょうか!?それにしたって罪の償いとしては大きすぎるのでは!?
てか長っ!!いつまでするのこれ!!息続きませんが!?
なんて思っていると、珍しく願いが通じたか互いの口が離れてゆく。
そこでやっと呼吸ができると口を開けて思いっきり空気を吸っていると、またやってきた口。
私の呼吸は2回にも満たなかった。
また耐え続けなければならないのかと思いきや、今度は何か違うようでしゅるりと口内に何かが潜み込んできた。ソレは私の口内を探るかのようにあちこちに触れて回って擽ったい。
ねえ、これって義勇の舌ですか?
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かかす(プロフ) - 面白いです、作者様神.. (2020年3月2日 14時) (レス) id: cb1c312403 (このIDを非表示/違反報告)
メリ助(プロフ) - コメント失礼します!!この小説を読むのが楽しくて仕方ありません!!もっと更新頑張ってくださいっ!炭治郎が主人公のフェロモンにあてられる様を早く読みたくてそわそわしながら更新通知覗いてます…(〃ω〃) (2020年2月25日 4時) (レス) id: edf0a2913a (このIDを非表示/違反報告)
まりまる - かっ、神絵(白目) (2020年2月22日 3時) (レス) id: 47953253f0 (このIDを非表示/違反報告)
シュラス - え、あの絵のどこか汚いんですか?寧ろ神レベルじゃないですか。マジリスペクトしてますよ?もっと自信を持って下さい!( ´∀`) (2020年2月13日 1時) (レス) id: 7e1b00660a (このIDを非表示/違反報告)
Rinu - ○○しないと出れない部屋がいいです! (2020年2月10日 20時) (レス) id: 2e42f0c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水飴 | 作成日時:2020年1月24日 19時