#踊り子/中原中也 ページ37
こんにちは。
こんな古びた本屋によって行くなんて君も変わり者だね。
嗚呼、そうだ。折角の来てくれたのだから、一つのお話をしてあげよう。
え?お金?そんなのいらないさ。もうじきここは潰れるからね。
さぁさぁ座って座って。はい、お菓子と飲み物。
今からするお話は、実話であり、昔々のお話だよ。
*
赤い着物を召して、手には扇子。
「よろしゅう願いますね」
一人の男性の目の前で頭を床にあて、敬意を示しているのはAという。
美しい、美しい女性であり、天女かと見間違えるほど。
うっそりと微笑めば、皆釘付けになり、嗚呼我のモノにしようと皆争う物はいつもの事だ。
ある昼下がりの事。
ざわざわとざわめくお店。いつもより忙しく足を動かし、舌を回す。
店の者の手には、いつもよりか幾分か豪華な善。
いつもよりか幾分か華やかな着物。
「今日は何があるんや?」
おっとりとした口調。
「いつもよりか騒がしいねぇ」
京都弁を使い、大人しく使いの者にお召し物を着せてもらっているのはA。
目元には涙黒子、床に流れる艶やかな黒髪。髪を梳う仕草でさえAがやればどうも
色っぽいものだ。
「あら?知りませんでしたの?」
こちらもA同様目元に涙黒子があり、艶やかな黒髪を持ち色気を持っている女性。
Aほどまではいかないが、美しい女性である、ナオミ。
ナオミは異国に住んでいた異人である。
「今日、中原武将がいらっしゃいますのよ」
Aの髪の毛を一本一本、痛めぬように丁寧に梳いていく。
手鏡を見ていたAだが目をぱちくりと大きくさせる。
だが、ふふ、と袖口を口元に当てお上品に笑った。
「あまりびっくり致しませんのね」
「ええ。織田はんにもお会いしておるからねぇ」
彼女だけだ。武将の織田信長の事を様も付けずに織田はんと呼ぶのは。
周りは首が落ちるかもしれぬぞと言っているがAが織田はんはそんなお人やないよと言って
頑として聞かぬが、織田信長自身は織田はんという呼び方が気に入っているそうだ。
今すぐにでも噛みつきたくなるような、ふっくらとしてぷるぷるな唇。
赤い果実のよう。ぱっちりと大きな瞳。瞳の中を覗けば、深い深い池を覗いているよう。
すらりと通っている鼻筋。なんとも艶めかしく、太陽が一度彼女を照り付ければ彼女の髪は
綺麗に輝く。
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嘘吐き姫(プロフ) - 中也さん、今度は戦国武将ですか…敵がバッサバッサですね(笑) 名前っぽいペンネームも素敵ですけど、双黒尊い…って、率直&ドストレートで、私は結構好きです!名前変わっても双黒尊い…さんはM・T(マイ・天使)です(( (2019年11月8日 19時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
双黒尊い…(プロフ) - リアさん» それは大変失礼いたしました。私がこのCSSを気に入っているという諸事情であまり変えたくないのです。本当に申し訳ございません。もうお知りになっているのかはわかりませんけれど右側にあるCSSという所を押せば、普通のに切り替わりますよ。 (2019年11月8日 16時) (レス) id: f17b921f9b (このIDを非表示/違反報告)
リア - あの小説のほうはすごく面白いのですが背景が桜の花びら、字が白なので大変読みにくいです壁紙を変えてください (2019年11月8日 16時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - 双黒尊い…さん» リクエストください(笑) (一つ前のコメント、レスつけそびれちゃいました、すみません!) (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リクエスト消化、ありがとうございました!びびりみたいなコミュ症みたいな夢主ちゃんめっちゃ可愛かったです(眼力) あと、「俺ってそんなに怖いのか」っていう中也さんの心の叫びにちょっと笑っちゃいました(笑)リクエスト停止を解消したら、是非私の作品にも (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:双黒尊い… | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kouki69632/
作成日時:2019年10月22日 19時