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# ページ4

私の目線の先には私と全く同じ見た目のドッペルゲンガー。
嗚呼、もう遅かったんだ、全部。私、消えちゃうのかなぁって。
ギュッと私であり私ではない私が中也に抱きついた。
中也は跳ね返すことも無く嬉しそうに抱き返す。

「お前から抱きつくなんて珍しいな」

中也ははにかんだ。それはそれは嬉しそうに。
やだ、やめて。中也が私以外に抱きついているとこなんて見たくない。
キッと気づいてくれない中也と嬉しそうに笑う私を睨みつける。
私と目が合った。ニタァと面白可笑しそうに私は笑っている。

「っ中也!それは偽物だよ!気づいて!私が本物なのっ!」

いくら叫んでも中也は気づかない。
嗚呼、手足が消えてきた。まるで幽霊になったようだ。
悲しくて悲しくて。全然気づいてくれなくて。
私、もう終わっちゃうのかな。足を抱えながら丸まった。
ふと、肩になにか暖かい温もりを感じた。

「っ中也っ!?」

気付いてもらえた、気付いてもらえた。
顔をあげる。だがそこには知らない顔。

「哀れで醜い貴方を迎えに来ました」

そこには真っ白でなんの汚れも知らないような人。
女神様のような人。その周りには頭の上に輪が浮かんで背中に翼を生やしている幼子。
分かった。女神様と天使だ。

「私と行きましょう?」

とっても、とっても甘い声でクラクラするほどの天い声で悪魔の声を囁く。
…この手を取れば楽になれる?

「えぇ」

まるで甘味を食べたみたいに甘くて体が痺れそうになる。
あぁ女神様女神様。私は手をさし伸ばした。

「待て」

低い声。愛しい人の声。
体が暖かい温もりに包み込まれる。安心する温もり。

「A」

体がすぅーと少しづつ色が戻り触れられるようになった。

「っ中也っ!?そっちは偽物よっ!?」

私が焦りながら叫んだ。
少しづつ女神様が歪み始める。

「っ違う!!私が本物だっっっ!!!」

思いっきり叫んだ。私が怯えむ。
私が本物なの。気づいて中也。私が本物なの。

「私が本物よ!」
「っ中也!!」

私達の間にいる中也は俯いていたがククッと喉を鳴らした。

「っどうしたの…?」
「残念だったな。俺の好きな酒は白ワインではなく赤ワイン。これはAにしか話してねぇ」

彼の手の中には白ワイン。
グイッと腕を引かれた。
愛しい愛しい彼の唇とふんわりと重なった。

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設定タグ:文スト , 双黒 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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嘘吐き姫(プロフ) - 中也さん、今度は戦国武将ですか…敵がバッサバッサですね(笑) 名前っぽいペンネームも素敵ですけど、双黒尊い…って、率直&ドストレートで、私は結構好きです!名前変わっても双黒尊い…さんはM・T(マイ・天使)です(( (2019年11月8日 19時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
双黒尊い…(プロフ) - リアさん» それは大変失礼いたしました。私がこのCSSを気に入っているという諸事情であまり変えたくないのです。本当に申し訳ございません。もうお知りになっているのかはわかりませんけれど右側にあるCSSという所を押せば、普通のに切り替わりますよ。 (2019年11月8日 16時) (レス) id: f17b921f9b (このIDを非表示/違反報告)
リア - あの小説のほうはすごく面白いのですが背景が桜の花びら、字が白なので大変読みにくいです壁紙を変えてください (2019年11月8日 16時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - 双黒尊い…さん» リクエストください(笑) (一つ前のコメント、レスつけそびれちゃいました、すみません!) (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リクエスト消化、ありがとうございました!びびりみたいなコミュ症みたいな夢主ちゃんめっちゃ可愛かったです(眼力) あと、「俺ってそんなに怖いのか」っていう中也さんの心の叫びにちょっと笑っちゃいました(笑)リクエスト停止を解消したら、是非私の作品にも (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:双黒尊い… | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kouki69632/  
作成日時:2019年10月22日 19時

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