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「あのすみません、たしかにどこでもいいとは言いましたけど…
なんでトントンさんの部屋なんですか。」
「それはこっちが聴きたいわ…。」
怖いんですけど。寝てる間に抹殺されそう。
少なくとも、今の私は『大天使』なんてイメージ持っていない。『有能』はさておいて。
待遇も明日決まると言っていたし、殺されることだって否定はできない。
…それよりも今は。
「シッマ知りません?」
「そういうと思って呼んどいたで。そろそろ来るんとちゃう?」
ほう、たしかに有能。
一定の距離を保ちつつ、2人の間で微妙な空気が流れた。
すると、いきなりバンッと大きな音がして、扉が開く。
「邪魔するでー!」
「邪魔するなら帰って〜。」
ズカズカと人の部屋なのにもかかわらず、ノックもせずに踏み込んでいくシッマは、出会った時と微塵も変わっていないようだ。
「おお、Aはトントンの部屋なんやな。」
「絶対あのグル…あっ、そうグルッペン。グルッペンさん悪意あるよね。」
名前を1人1人メモしておいて正解だった。
後で聞いたところ、外交やらなんやらで、数人は今、国にさえいないとか。
なんやかんや、ここも国だなと。まあ、当たり前のことを思ったわけですが。
「で?シッマ、なんで私はこんな目に遭わないといけなかったの。」
少し不機嫌に問うと、シッマは半笑いで答える。
「すまんすまん。ちゃうねん。ほんまは観光客ちゃうかなっていう思いもあったし、なにより…
お前の実力見てみたいやん。」
は?
実力ってスパイの実力?それとも戦闘においての実力?まあ、どっちだって関係ないけど。
「トントンと戦ってる時随分白熱しとったし、どうせなら決着つくまでみたいなぁ、と。」
「あれ、私とシッマって友達だったっけ。」
「シッマ…それは流石に心無いだけで済まされへんで…。」
20年ほど生きてきて、生まれて初めて友達の不正確さを感じた。…2、3回目だったっけか。
どうでもいいことは記憶力の引き出しの無駄遣いなので忘れた。
「ああ、もうお前の顔見たくなくなってきた。帰らないと殺すよ。」
「穏やかやないなあ。じゃあな、トントン!うちのAがしばらく世話なるわ!」
そう言うと、シッマは何事もなかったかのように去っていった。
…ところで『うちのA』ってなに?家族だったっけ。
そして、また沈黙が訪れた。
「えっと…改めて自己紹介でもしよか。」
おっと、思ったよりもトントンさんは真面目らしい。
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時