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あれから1時間ほど経ち。
情勢は全く動かないままだった。ただ、グルッペンさんへの服従を誓うのみ。
しかし、そんなくだらないやりとりに、私はもう飽き飽きしていた。
早くなんとかしなくては。
本当はあの男をとっ捕まえたいところだが、生憎母国の国王様も男を見て怯えてるようなんで無理ですね、ええ。
身元がバレたら即終了、普通に考えて無理ゲーだ。
身元をバラさずに相手をバラす方法なんて…。
と、机の下に置いてあるスプレー缶のようなものを発見する。近くに寄ってみてみると、『ヘリウムガス』の文字。
「その手があったか…っ!」
思わず声に出すと、男から『うるせぇ!!どいつだ!?』と怒鳴られる始末。さーせんさーせん。
トントンさんに『どしたん?』と尋ねられ、ニヤリと笑ってみせる。
「トントンさん…
マフラー貸していただけますか?」
「えっ?まあ…ええけど。」
そんなやりとりを小声でしてから、私はスプレー缶の中身を一気に喉奥へと吸い込むのだ。
そして、受け取った紅蓮のマフラーを顔をなるべく隠すように身に纏い…
静かに立ち上がり、男に近づいていった。
「なんだお前!早くグルッペン様への敬意を示せっ!」
「…っ、あのさあ。」
発した高い機械で作ったような声に後ろのグルッペンさんが吹いたのが見えた。
自分でも笑いそうになる。
胸元の銃を取り出し、男に向けた。
「私はあんな“くそ野郎”に忠誠なんざ誓いたくない。」
そう、本人の前で言い切った。
すると、グルッペンさんは何食わぬ顔をしているのにもかかわらず、その男は『な…なんだと!?!?!!』とすっかり激怒。
拳銃をこちらに向けると、私の頭に向かって発砲した。
…その時だった。
キン、と鋭い音がして弾が落ちる。何が起こったのかと目を見開けば、目の前には高身長の眼鏡が。
「お前のことは俺が守らんとあかん。…Aを死なせてグルさんに怒られんのだけは勘弁してくれ…。」
「ふふ、随分と切実ですね。」
「…その声じゃなければもっとええセリフ言えたんやけど。」
はいはい、すみませんと適当に心の中で謝ると、男との銃撃戦が始まった。
…とは言っても、男の銃弾をトントンさんが弾き、私が男の腹部を撃つのみ。正確にあたったが、可哀想なので急所は避けてあげた。
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時