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「はははははは!!あの大先生にハメられるとは、お前も大分脳みそガバガバだな。」
…ならスパイなんかに誘ってんじゃねえよ。
少し嫌な顔をすると、心の声が漏れていたようで、「文句か。上等だ」と少し顔をしかめるグルッペンさん。
怖い怖い。
「で、このことですけど…言わないでくださいね、本当。」
「さあ。」
うわ、最悪なやつに秘密を知られた。と、本能が警告する。
さっさと会話を切り上げようと転換の接続語でコートを翻した。
そのときだった。
「誰が行っていいと言った?」
「ん…?わっ!!」
いきなり襟を引かれ、少し体制を崩しそうになる。
後ろに倒れるかと思えば、肩甲骨がグルッペンさんの胸板にあたり、もたれかかるようになった。
少しでもこの体制から抜け出そうともがけば、襟が余計に引っ張られて息苦しさを感じる。
「なに…してるんですか…。」
「お前はなぜこんなことをされていると思うか?」
質問文に質問文で返すなこのやろう。
そんな気持ちを抱いて少しでも上を向いて睨めばまた首が締まる。
家畜じゃないんだぞ!!!
「わかりません…っ、それに苦しいです。」
グルッペンさんはそれに対して軽く嘲笑すると、耳元でわざとらしく低音を響かせた。
「こうやって首輪をつけて話をした方がいいのかと思った。これじゃダメか?」
ダメです。
そう声に出してみれば余計に手前に襟が引かれた。
と、そのとき。
「トントンのことが好きか?」
「ん?」
一瞬聞かれていることの意味がわからなかった。直接息が注がれるのにくすぐったい感触を覚えながらも応答を試みる。
「…優しいな、とか顔整ってるなとかは思いますけど…それくらいですかね。」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに嬉しそうな声が耳に入った。
「それはつまり『好き』ということじゃないのか?」
頰がぶわっと赤みを帯びる。
今まで陥ったことのないような感覚に目眩がしそうだった。
トントンさんのことが好き?私が?
「そんなわけ…。」
「でも体は正直だと思うぞ。…ほら、耳も赤くなっとるし…。」
そこまで言葉が聞こえた瞬間、グルッペンさんを突き飛ばしていて、ようやく顔が見えた。
愉快そうな胸糞悪い顔が。
「そんな事実は無いので。…失礼します。」
ペコっと頭を下げてからトントンさんの部屋への道を軽く走り始めた。焦ってはいけないとわかっているのに、奴のせいで焦らざるを得ない。
怖い。
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時