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#28 ページ28

「幹部になる気になったか!?」


ノックして中に入ると、パァッと明るい顔が出迎えた。んなわけないだろバカ。

「違います。…ただ、皆さんの仕事を手伝おうと思って、やり方を教わりに来ました。」


『そうか』と返すと、いつものように妖しく笑ったグルッペンさん。
すると、私の目の前まできて、わざわざ見下してくる。


「俺がそんなに優しく教えられると思うのか?



…覚悟しろよ。」






静かだった目がいきなり沸騰したように感じられて、スススッと総統室の入り口まで戻った。

「失礼しました!!」


もう2度と来ません!

ここに来たのは本当に間違いだった。
…でも、誰に教えてもらえれば…。


「あれ、そこにいるんはAさん?」

「えっと…エーミールさん?」

『よくわかりましたね!』なんて笑みを浮かべて近づいてくる。…なんかあざとい。
目は透き通っていて、いかにも無垢で純粋な感じ。

「総統室に何か用ですか?」

「ああ、えっと…実はですね…。」


仕事や書類に関する今までの一連の流れを話す。
すると、『災難でしたね』と苦笑いをされた。


「よかったら私が教えましょうか?」



…ん、今なんて?
教えましょうか?

こ、この人…いい人すぎはしないだろうか…?

「お、お願いします!!」

ふふっと軽く笑いをもらし、ついてくるよう促された。
行き先はどこだろう、と考えていると、少し大きめの扉の前につく。

『図書室・資料庫』

そんなプレートが目に映った。


「うわ…大きい…。」

中に入ると、本、本、本。
資料庫とも書いてあったから、きっと国の重要な資料なんかもたくさん入っているんだと思う。

母国の軍にはこんなものは与えられていなかったため、感動していると、エーミールさんにまた笑われた。

首を少しかしげると、エーミールさんは謝りながら言った。

「すみません、あまりに驚くから…。きっと、珍しかったんですね、こういうの。」

…この人こそ天使じゃないか。


「とりあえず、この机を使いましょう。今ちょうど資料をまとめていて、息抜きに城内を散歩していたんですよ。」

「そうなんですね、お疲れ様です。…邪魔してないですか、大丈夫ですか?」

少し不安になったので、問う。

「とんでもない!Aさんが書類の処理の仕方を覚えればトントンさんも助かるでしょうし…。あっ、いえ、別にトントンさんのみならずみんな助かるんやけど。」



エーミールさんの訛りは新鮮で、聞いていて心地が良かった。

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作品ジャンル:恋愛
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
- 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
- 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時

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