#２６ ページ26
【A】
畑仕事のせいで、若干痛んだ足腰。
そういえば、あの日以降はあまり運動をしていなかった気がする。
…まあ、腹がこんな状態じゃあ…ねえ。
と、脇腹をさする。
現在、昼食を取っている最中。
今日は久しぶりにパンが恋しくなったので、それにバターを塗って食べていた。
その時だった。
「…よいしょっと。Aちゃん、こんにちは。」
「こんにちは。」
近所のおばさんのようにナチュラルに話しかけてくるのは大先生。
…まあ、元いた国にそんな奴はいなかったけど。
大先生とは、世間話を続けた。
今、どこの国と対戦中だとか、どこの国と仲がいいだとか。
資源や軍備、そしてこの国についてたくさん教えてもらった。
２枚あったパンも、もう半分。
すると、大先生は笑顔を崩さずに言う。
「なあAちゃん。…ゲームせん？」
「ゲーム？」
思わず聞き返す。
なぜだか、痛む足腰が余計に強く痛くなった気がした。
…嫌な予感。
「いいです。」
「ええやんか別にぃ〜。」
縋るような目に、優しい声色。
軽いため息をついて、言った。
「…わかりました、やりましょう。でも、何をするんですか？」
尋ねると、『よく聞いてくれた！』と言うように顔がパァっと明るくなる大先生。
「30を言ったら負けゲーム…って言ったらわかる？」
「30を言ったら…負けゲーム？」
そんなゲームは出身国には存在しなかった。…いや、あったかもしれないけどそんなことをしている余裕は皆無。
大先生の話によれば、１から順々に数えていき、30を言った人が負け。
ちなみに、１ターンで３まで進めることができる。
…なるほど、単純だし、簡単そうで面白い。
「うん、わかりました！」
「よし、じゃあ俺は先行でいくで。」
『負けたら罰ゲームな』と付け加えられ、闘志を燃やす。負けたくない…！
「１」
もう目の前の４分の１程度になったパンの存在も忘れて必死になって考える。
どうやったら、大先生に30を言わせられるか。
しかし、決着はすぐについた。
「…30。」
「わあい！」
大先生の圧倒的勝利。
悔しくて、何回も頼む。
しかし、全て負けてしまい、とうとうぐうの音も出なくなってしまった。
…うーん、控えめに言って最悪だ。
「…それで、罰ゲームとは？」
「んふふっ、それはなぁ…。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
