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#20 ページ20

【オスマン】

無線機を繋げる。相手はもちろん、グルッペンだ。
少し苛立ちを覚えながらボタンを押す。

「…こちらオスマン。」

「どうした。」

…この言い振り。
こっちが何人と外交してきたと思っとるんや、お前が俺の言いたいこと全部把握しとるっちゅうんはみえみえやで。

しかし、ため息を1つついてからさっき無意識のうちに吐き出した言葉をまた性懲りも無く吐いた。


「嘘、下手すぎな。…あんなんやとバレるめう。」

実際、『何かを隠している』というところまでバレてしまった。
まだ核心的な部分を突かれていないのがおいしいが、彼女のことだ、きっといずれ気づいてしまう。

しかし、無線機からはグルッペンの楽しそうな高笑い。


「オスマン…。


そんな疑問を持たせないように彼女を躾けるのが俺たちの役目だぞ。」

「うーん…うまくいくんかなぁ。」



全部…トントン次第やな。




【A】

…なんかノリで仕事を引き受けてしまった。

「あぁ…っ。仕事したくない…!!」

「お疲れ様。」

マフラーをシュルシュルと取って畳むと、箪笥にしまうトントンさん。
一方私はというと、完全に放心状態。
1週間後が憂鬱だ。


この日は特に何もせずに終わってしまった。
それこそ、グルッペンさんの挙動に対して怪しみ、探ろうとしてまた恐怖がこみ上げてきたくらいだ。

現在、夜11時。
もちろん消灯済みで真っ暗だ。



「あの…だから、床でいいです。」

「良くない言うてるやろ、ええ加減にせえよ。」

若干かがんでモノを言う癖を治してください。
え?また争ってるのかって?

…トントンさんが頑固なのが仕方ない。


「そもそも、どうして空き部屋とか支給されないんですか?物置でもいいからプライベート空間が欲しいです。」

「俺やって同じ気持ちやけど、Aが逃げ出そうとするから余計にそれができなくなったんがわからんのか。」


…たしかに。
『すみません』とまた小さな声で謝る。

すると、ため息をつかれた。
…怒ってるかな、と見上げてみれば、頭を撫でられる。


「ごめんな…剣…痛かったよな…。いくらあのとき疑ってたからって、殺そうとして…。」


切ない表情が私の心を抉った。
やめて。そんな表情されたら断れなくなる。

…。


「はぁ…。負けました。」

ベットに腰掛けると、トントンさんは笑った。

「ふふっ、案外押しに弱いんやな。」

その言葉に頰を軽く膨らませる。

まったく。








…大人ってずるい。

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作品ジャンル:恋愛
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
- 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
- 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時

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