検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:32,447 hit

小さい君と【rb】 ページ14

「ロボロちっさ!!」


それが、再開した幼馴染に会って言われた一言目だった。

いきなり暴言を吐かれたことに驚いて顔を見てみれば、幼稚園の頃の友達、Aだった。


「お前も同じくらいやんけ…。」


そう言い返してみるが、都合の悪いことは耳に入らないようで無視される。

…そっか、一応初恋の人やもんな。

どうりでさっきから胸騒ぎが…。

たしかに、幼い恋は『初恋』に入らないかもしれない。

しかし、自分にとっては大切で、叶わぬ恋だった。


「喫茶店よってこうよ!時間あったら。」


仕事帰りで特に予定もなかったので、彼女に誘われるがままに小さな小洒落た喫茶に行く。

アンティークな感じで、どこか懐かしかった。


「ロボロってたしか結構食べたよね!」


Aはそういうと、店員を呼んでかなりボリュームのある品を3つ頼んだ。

うへえ、これは俺でもきついぞ、Aには無理や。




「おっ、ここのパンケーキなかなか美味しいんやな!」


「でしょ!」


嬉しそうに微笑むAに、心がきゅっと締まった。

久しぶりの感覚に思わず頰が緩む。


「あーんしてあげるから食べてよ、残り。もうお腹いっぱい。」


「うぇ!?」


思わず変な声が出た。

無自覚なのか、意識しているのか。

おそらく彼女の場合、前者だろう。

すかさず断るが、根負けしてしまう。

『あーん』という甘い言葉1つ1つが脳を侵食していった。


…こうなったら。

パクっと咥えたスプーンを持つAの手をぐいっと引き寄せた。

するとAはバランスを崩して、机越しに乗り出した。

顔が近くて恥ずかしい。

おそらく、真っ赤だ。

スプーンを口から離して放つ。


「あんまり期待させるような真似しとんとちゃうぞ。」


そう言ってゆっくりと手を離した。

すると、彼女の顔も真っ赤に染まる。



「…身長は小さいのに、やることは大胆になったね。」


その一言が少し熱を帯びているような気がして。

それでいて、正論で。


「やかましいわ…ほんまに。」


そっと答えて、笑った。

愛【tn】【gr】→←酔い【os】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
設定タグ:wrwrd! , 短編集 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夜飴月/黄泉月(プロフ) - 悠哉さん» リクエストありがとうございます。了解です! (2019年1月4日 23時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
悠哉 - はじめまして!リクです!ツーマンセル組(zm syp)で軍パロが見たいです!落ちはなんでもおっけーです (2019年1月4日 23時) (レス) id: 23affa0a0e (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 甘党吸血鬼なづさん» リクエストありがとうございます。承ります! (2019年1月3日 22時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
甘党吸血鬼なづ(プロフ) - リクエストなんですけど、エミさんで学パロみたいなのって出来ますか? (2019年1月3日 22時) (レス) id: 544e4af6c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 白華時雨さん» 同い年で自らは堕ちていき、それでも彼女のことは心配するという、クズさの中に塗れた優しさを書いてみました。そこまで考えていただけるとは思っていませんでした、ありがとうございます! (2019年1月2日 14時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2018年12月31日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。